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2009-02-05 00:00
「給付金は弱者に寄付を」と呼びかける地方の声
杉浦正章
政治評論家
自民党の役員会というのは、一体どうなっているのだろうか。定額給付金をめぐって一触即発の時に、あえて首相・麻生太郎をけしかけて、「もらわねぇ」発言を引き出し、これをマスコミに流布する。マスコミが飛びつき、国会の紛糾は必至である。野党の格好の攻撃材料を自ら提供して、混乱を助長しているのである。これに比べると、地方自治体の動きは、中央政界の混乱と比較して清々しい。給付金を寄付へと訴える動きが、大きな流れとなってきた。
首相発言は、2日の役員会の話が4日になってリークされたものだが、ピントの外れ具合では札付きの総務会長・笹川尭が仕掛けたものだ。やりとりは、笹川が「給付金を受け取るかどうか、はっきりさせた方が良い」と聞き、麻生が「まだ決めていない」と答えた。するとまた、たたみかけるように笹川が「もうそういう姿勢では済まない」「優柔不断に見られるので、明言した方がいい」と迫った。麻生はついに「おれはもらわねえよ」と開き直った、という経過をたどっている。
折から国会は予算委員会の質疑が始まったばかり。笹川があえてこの時点で麻生から「もらわねえ」発言を引き出して、何のメリットがあるかだ。「もうその姿勢では済まない」と麻生に発言を促した判断は、明らかに誤判断だ。政府・与党としては、麻生がもらうかもらわないかなどはあいまいのまま、参院でペンディングになっている2次補正関連法案の審議を促進させなければならないときだ。はれものに触るような配慮が必要な政治状況なのである。笹川は昨年末予算編成をめぐって首相をどう喝、伊吹文明から「総務会長は一番いい踊りは首相に踊ってもらう必要があることを理解すべきだ」とたしなめられている。とにかく「空気が読めない」自民党幹部の仕掛けで、国会の混乱が助長されるのは必至だ。
こうした中で、地方自治体の間で富裕層に定額給付金を弱者に寄付するよう呼びかける動きが広がっている。まず東京・足立区が定額給付金を、区民がNPO法人などに寄付した場合、住民税から差し引く方針を決めた。最近では福岡県久留米市の江藤守国市長、つくば市の市原健一市長、松本市の菅谷昭市長らが次々に市民に寄付を呼びかけている。総じて地方自治体は、中央政府の“無理難題”を、寄付への転嫁でかわす智恵を絞り出すようになってきている。これにくらべて中央政界、とりわけ自民党の足の引っ張り合いとも取れる動きは見苦しい、としか言いようがない。いっそ国会議員も寄付をするように窓口か、超党派の組織でも作ってはどうか。麻生ももらわないなら寄付するのが一番だ。もっとも寄付は黙ってするものだが。
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