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2009-02-03 00:00
麻生は、解散のフリーハンド確保に懸命
杉浦正章
政治評論家
2008年度第2次補正予算関連法案成立のめども立っていないのに、唐突な2009年度補正予算案の5月提出論が首相側近から出たが、発信源は明らかに首相・麻生太郎そのひとである。狙いは解散のフリーハンド確保にある。民主党代表・小沢一郎のペースに引き込まれて、3月解散にはまり込まないように布石を打ったが、本予算案審議が始まったばかりとあって、急きょ引っ込めた構図だ。
麻生は、既に1月中頃から2009年度予算に続いて補正予算を今国会中に編成する可能性について、「じゅうぶんあり得る」と漏らしていた。首相補佐官・山口俊一が31日に首相の意向として公にしたのは、明らかに麻生の指示に基づくものだろう。補佐官が首相の解散権に無断で言及することはあり得ないからだ。山口は、「首相は『5月ぐらいに(景気が)下げ止まったら、地方を中心に光が見える時が来てほしい。その状況を見て新たに(09年度)補正予算を組みたい』と話していた」と述べ、09年度補正予算案提出後の解散を、麻生が考えていることを明らかにしたのである。
ところが、本予算案の審議も始まらないうちに補正予算案の話とあって、与野党の予算委員から猛反発が生じた。慌てて麻生は記者団に「まだ予算の審議にも入っていないんだよ? 最初から補正予算を言うってことは『いまのものは欠陥商品でございますから買ってください』みたいな話だ。常識的に考えられません」ととぼけて否定してみせた。麻生があえてマッチ・ポンプを演じた背景には何があるのだろうか。明らかに小沢の動きがある。これまで解散見通しをことごとく間違ってきた小沢が、ここにきて断定的に「3月解散、4月総選挙は間違いない」と言い出した。幹事長・鳩山由紀夫も同様の発言を繰り返している。よほどの“確証”があっての発言らしいが、どうも発信源が自民党幹部らしい。話し合い解散を念頭に置いたもののようだが、麻生にしてみれば、この段階で話し合い解散に応ずれば、完全に小沢ペースに追い込まれる。フリーハンド確保のために「山口発言」で“中和”をはかったという構図のようだ。
いずれにせよ、小沢の言うように3月解散があるかというと、話し合い解散の場合だけだが、国会は2次補正関連法案が成立の見通しが立たないうえに、本予算関連法案も60日条項を使って4月に成立させざるを得ない状況だ。小沢の「3月に予算が成立すれば」の仮定は、自ら予算関連法案を人質にしておきながら、論理矛盾している。「だいいち金がない」というのは、元自民党幹事長・野中広務。「選挙準備で懐がカラカラ。政党助成金は4月20日に配られる。それをもらってからでないと解散できない」と述べている。助成金の1回目の交付は、4月10日までに請求書を提出した政党に対して、4月20日に交付される。自民党に170億円、民主党に100億円などが転がり込んでから解散と言うのもうなずける。もっともこれを担保に事前に銀行から「借入金」という手段もないわけではないから、予断は出来ないが。
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