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2009-01-20 00:00
消費税問題は「字句修正」での決着しかない
杉浦 正章
政治評論家
消費税導入問題は、税制関連法案付則への明記をめぐって、自民党内で一触即発の対立が続いている。複雑な議論のもつれを解きほぐすと、「字句修正」で調整の方向しかないことが分かる。反対派の核である元幹事長・中川秀直もどうやら落としどころを考え始めたようでもある。問題は、強硬派の中堅・若手議員をどう抑えるかだ。賛成、反対両派ともこの段階での「激突」は、民主党に漁夫の利を占められるだけだということに気づかなければ、「自民党終わりの始まり」だ。修正の動きが台頭してきた背景には“安倍工作”がある。元首相・安倍晋三は17日夜、首相・麻生太郎を私邸に訪れ、約1時間会談している。安倍は党内反対派の空気がただならぬ状況にあることを説明し、麻生に対して字句修正で妥協するよう説得したようだ。
一方で安倍は中川に対しても自重を求めている。字句調整は極秘裏に行われているが、問題は、選挙を前に尻に火がついている若手・中堅議員らも納得できる表現に達することが出来るかどうかだ。納得できなければ16人の造反が出て、政局を直撃することになりかねない。問題の焦点は簡単だ。付則に書き込む文言の重心を「2011年度実施」に置くか、「景気回復や行政改革の進展を見た上で」の前提条件に置くか、にかかっている。考えてみれば、麻生の発言はバランスが取れている。「景気を立て直し、財政の無駄、行政改革とか、いろいろやったうえで、2011年に中福祉・中負担をやらせていただく」と19日発言しているのだ。
中川は造反を示唆しつつも、既に執行部案の「11年度より実施できるよう必要な法制上の措置を講じる」から「実施」の表現を削るように主張、妥協も模索している。付則案の提示は22日の財務金融部会に先送りされたようだが、それまでの間にワーディングをつめることになるだろう。政調会長・保利耕輔は19日の党役員会で、「経済回復後の増税を強調するなど、2、3の字句修正ならありうる」と述べたという。問題は山本一太ら中堅若手グループが「2011年度」外しに固執していることだ。ここは、麻生も施政方針演説で明言するのだから、付則などにこだわるべきではない。大幅譲歩を考慮すべきだ。派閥の会長会議も20日開かれるが、よほどうまい文言が出来ないと、各派内の造反を抑えるのは難しいだろう。
注目すべきは、付則明記説の背後には財務相・与謝野馨が存在することだ。与謝野は昨年暮に、議論沸騰をじゅうぶん予測して布石を打ったといわれている。自民党内で「与謝野選挙管理内閣への布石」という、うがった見方までささやかれるゆえんである。与謝野もこだわりすぎると禍根を残す状況を把握すべきだ。また「何でも政局」を狙う民主党も虎視眈々と成り行きを見守っている。代表代行・菅直人は、税制関連法案の付則部分を削除する修正案の提出を検討しているという。造反を誘い出すためだが、まるで隣の火事に泥棒に入るようなもので、発想がいやしい。読売新聞が20日の社説で、民主党を「消費税率引き上げという苦い薬は避け、こうした政局優先の対応に走るとすれば、国民の信頼を損ねるだけではないか」と手厳しく批判しているのは、まさに正論だ。
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