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2008-12-25 00:00
冒頭から大波乱必至の通常国会
杉浦 正章
政治評論家
来年の通常国会がどう展開するかだが、政府・与党の基本戦略は“解散なしの中央突破”だ。1月5日招集という異例の対応がすべてを物語っている。中央突破で4月までに予算関連法案の国会通過をはかる日程だ。これに政局至上主義の民主党があらゆる手段を講じて“解散”に追い込もうとし、自民党内のはぐれガラスの同調をさそう。単純化すれば通常国会は、食うか食われるかの与野党対決と自民党内造反で最終決戦の修羅場と化するだろう。冒頭は2次補正をめぐる攻防だ。定額給付金の分離を拒否する自民党と、分離を主張する民主党と、これに同調する朝日新聞、テレビ朝日などのメディアとの戦いとなる。朝日は12月25日付けの社説で「スピード最優先と言うなら、民主党との対決は封印し、妥協を探るべきだろう。解散を約束して協力を得るしかあるまい」と定額給付金の分離・話し合い解散を主張している。朝テレも24日夜の報道ステーションで「分離してやるべきだ」とコメントしている。民主党と全くの同一歩調だ。
民主党の冒頭戦術は、おそらく本会議開会拒否などで、冒頭から解散に追い込む戦術を取るだろう。政府・与党は分離を拒否して、補正を1月中旬までに衆院で採決に持ち込み、参院に送付する。次いで来年度予算案を2月中旬までに衆院を通過させる。補正の2月中旬成立、本予算の3月中旬成立を目指すわけだ。問題は予算関連法案だが、60日条項による衆院再可決で補正は3月中旬、予算関連法案は4月中旬の成立を目指す。これが中央突破の基本戦略だ。これに対して民主党は、参院優位を盾に国会審議を「人質」にとって、何が何でも解散に追い込もうとするだろう。参院で首相問責決議など連発して、すべてを政局に結びつけようとするだろう。一方政府・与党は、金融危機と国民生活を盾に補正・本予算の早期成立を図ろうとするだろう。
焦点の定額給付金問題では、マスコミの作った「政策として効果がない」という世論ではなく、「生活に必要だ」という実態世論をいかに巻き起こすかがカギとなる。「景気・雇用対策のためにも予算の早期成立が必要」との主張で、世論を説得できるかどうかもカギだ。民主党が話し合い解散をしきりにちらつかせているが、来年度予算案を強行突破で成立させる構えである以上、話し合い解散はありえない。4月に予算関連法案の再可決まで事が運べば、その上で解散に踏み切るか、都議選とダブル選挙となるか、任期満了選挙となるか、政治情勢次第だ。一方、自民党内の造反派の動きだが、渡辺喜美の動きへの同調者は少ない。毎日が礼賛の社説を書いたのには驚愕したが、読売の社説は無視、朝日ですらも文中軽く触れただけだ。舞い上がったはぐれガラスが何羽引き連れて離党するか。その度胸があるかどうかだ。
一方で「106人集まった」と豪語していた中川秀直の議員連盟「生活安心保障研究会」の24日の初会合には、旗揚げ時の半分にも満たない約30人しか集まらなかった。おりから秘書の黒い霧が朝日社会面トップで報道され、中川にとっては弱り目に祟り目だ。しかし、はぐれガラスも中川もわずか17人で衆院再可決を覆させられるのだから、甘く見ると間違う。したがって、通常国会は冒頭から大波乱が必至の状況だ。焦点は一点に絞られる。かねてから述べているように、首相・麻生太郎が精神的に持ちこたえられるかどうかだ。持ちこたえられれば、自民党内に有力首相候補はいないのだから、結束を維持できることになる。中央突破には強力な統率力と信念が不可欠だ。ここは麻生にとっては、目をつぶって突っ走るしかない政局だろう。
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