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2008-12-19 00:00
愛国心なしに自衛官は使命感をもてるか
藤永 剛志
団体職員
田母神氏の後任の外薗健一朗空幕長は、就任後の記者会見で、田母神氏の言動が「国民の信頼を揺るがせた。反省し、深くお詫びする」と謝罪し、再発防止のため「政府の政策、見解、方針を体現し、愚直なまでに実行していく」旨発言したと伝えられている。たぶん田母神史観の踏み絵をクリアしたのであろう他の制服のトップたちも、いわずもがなの田母神氏批判の揃い踏みをする。しかし、制服のトップたちが村山史観の「体現」を「愚直なまでに実行」すれば、自衛隊はまちがいなく、こうした「弱将」のもとに「勇卒」なき軟弱集団、戦闘服を着ただけのサラリーマン集団と化す。田母神的国家観なら命をかけるが、祖国に愛や誇りを持たない村山史観的国家観の隊員たちが、「身捨つる」はずはない。政治家に聞きたい。自衛官は自己の生命以上の価値観を一体何に見出せというのか。
にもかかわらず、問答無用の田母神氏罷免や隊員に対する監察等、文民統制の名のもとに隊員の思想信条にまで踏み込むことは、「角を矯めて牛を殺す」、つまり生命を賭して祖国を守るべき戦闘集団の形骸化を招き、有事における防衛出動命令拒否などの文民統制の根幹を揺るがす事態となる。平成8年12月、ペルーの首都・リマでテロリストによる駐ペルー日本大使公邸襲撃および占拠事件が発生した。4ヵ月後、約60名のペルー軍特殊部隊は、テロリスト14名、人質72名が混在する大使公邸に突入して、テロリストを殲滅し、人質71名を救出した。この際、特殊部隊のバレル大佐とヒメネス大尉が戦死し、人質のペルーの最高裁判事が犠牲になった。
「もし、あなた方がこの手紙を読む日の朝には、私は日本大使公邸人質救出作戦に参戦し、命を失っている事でしょう。私にとって、ペルーと呼ばれる祖国への愛に勝るものは、この世に有りません――」とは、バレル大佐のポケットにあった遺書の書き出しである。この祖国愛こそが命に代えてでも国を救うのであるが、我が国では青少年がこうした愛国心を身に付ける機会と環境を欠いている。そのなかで、自衛官のみには「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め」るべき義務(自衛隊法第52条「服務の本旨」)がある。しかもその義務は、単なる精神規定ではない。防衛出動拒否等に対しては、懲役7年以下などの刑事罰が科せられる(自衛隊法第122条ほか)。つまり「自衛隊員の場合には、その任務に死の可能性が最初から含まれている」(「ごっこの世界が終わったとき」江藤淳・文藝春秋)のである。重ねて言うが、政治家らは、田母神的国家観などもってのほかというのであれば、村山談話的国家観のもとで透徹した使命感をもつ自衛官をいかに育てるか、その具体策をぜひ示していただきたい。
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