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2008-12-19 00:00
最近の政治家の発言から政局を分析する
杉浦 正章
政治評論家
最近の政治家の発言から政治の現状を分析してみた。
★「法案を審議すべき場所は国会。党首会談でというような種類の話ではない」と首相・麻生太郎が民主党代表・小沢一郎との野党3党提出の雇用関係4法案をめぐる党首会談を拒否した。それはそうだろう。そもそもの経過がパフォーマンス狙いだからだ。小沢は給油、金融2法案の成立で臨時国会が消化試合になりそうなのを回避するため、参院幹部に「通常国会に向けて緊張感のあることをやろう」と指示していた。何だろうと思っていたら、会期末になって雇用者救済と称して急きょ法案を出し、麻生政権の無策ぶりを浮き立たせることを狙った。12月18日の参院委でたった2時間半の審議で強行採決。問題はマスコミがどう反応するかだったが、一部を除いて「どっちも、どっちだ」というトーン。反権力色の強い毎日ですら「雇用法案採決強行、政争の具」と中立的見出しをとっている。党首討論の“成功”に味を占めた小沢の仕掛けも、不発に終わった。一党首の“謀略”をそのまま反映させるほど、マスコミもバカではない。
★「比例で他党への投票を求めるのはおかしい」という選対委員長・古賀誠の発言が、麻生の消費税導入時期明示とともに、公明党との関係をぎくしゃくさせている。なかには「自民・公明の連立にまで影響する」という解説までするテレビもある。しかし、これは判断間違いをしている。自公はここまで来ると一蓮托生だ。敵前の内輪もめを大事に発展させることはあるまい。消費税論議などの複雑な迷路に入り込む前に、ボディランゲージをみれば、分かることだ。麻生と公明党代表の太田昭宏が12月22日に東京都北区で開かれる自民党支部のセミナーにそろって出席、両党の結束をアピールする。麻生は区議や一般党員らに太田への支援を呼び掛ける意向だ。古賀発言も、選挙区によって臨機応変に対処すべきことを、一律に受け取られたことが間違いのもと。舌足らずであった。
★「次の選挙で自民党から離れても、『刺客』を送られるだけ」自民党幹事長細田博之の発言。渡辺喜美と加藤紘一に対する発言だが、渡辺は「刺客を募集して、『逆刺客作戦』をオールジャパンで展開しなければいけない」とやり返した。これに呼応して、渡辺喜美の側に立つ元幹事長・武部勤が「本当に馬鹿な発言」と援護射撃。これには驚いた。総選挙で郵政民営化に反対したというだけで刺客を送った張本人の武部が、刺客に反対するとは。04年に製造業派遣を解禁して、「派遣切り」に直結させた小泉構造改革への反省が潮流となりつつある自民党内で、武部は孤立感を深めている証拠だ。
★ 「一億円も収入がある人がもらうのは、さもしい」という首相・麻生太郎の定額給付金問題での発言に、みのもんたが激怒している。「さもしいと言われちゃった」とまるで麻生が、みのもんたを狙い撃ちしたように受け取っている。「高額所得者がいくら税金ふんだくられていると思っているんだ」とも開き直った。このところ口を開けば麻生批判をしているのは、その恨みかもしれない。みのもんたの収入は、その道のプロによると、「今のレギュラー番組の出演状況から考えると、毎週最低2000万。年間10億近いのではないか」という。まあまあ、みのちゃん、金持ちけんかせず。何でも自分のことに結びつけるのは、被害妄想気味ではないか。それにしても瀬戸内寂聴もプリミティブな麻生批判を繰り返しているが、TBS番組で「もらえないのは嫌だ。差別だ。平等にくれるべきだ」と述べている。最近は僧籍に入るということは、我欲を断ち切ることとほど遠くなったらしい。古来、僧侶と女性が政治に口出しすると「世も末」と言われるが、寂聴さんは両方兼ね備えておられる。「辞退するのは、人間の矜持」という麻生の言葉がもっともらしく聞こえる。
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