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2008-12-08 00:00
防衛省めぐる四文字熟語
伊奈 久喜
新聞記者
12月6、7両日、東京六本木の政策研究大学院大学で国際安全保障学会の年次大会が開かれた。私事になって恐縮だが、同学会の理事である山口昇前陸上自衛隊研究本部長が企画した「自衛隊の国際協力活動」をテーマにした部会の司会を務めた。陸海空三自衛隊から山口氏が選んだ精鋭が、深い議論を展開した。特にコメントを用意せずに司会席につき、頭に浮かんだことを話した。それが自衛隊の各組織にかんする四文字熟語であり、それにまつわる筆者の「誤報」の話だった。自衛隊関係者には周知だが、ご存じない方が大部分だろうから、四文字熟語について簡単に紹介しておく。
10年近く前、筆者が聞いたのは、次のような話だった。1970年代に当時の防衛庁担当記者たちが自衛隊の各組織を揶揄する四文字熟語を考えた。それが「陸=用意周到・優柔不断」、「海=伝統墨守・唯我独尊」、「空=勇猛果敢・支離滅裂」だった。そう聞いたので、この10年、折に触れ、そう書いてきた。だから、いわゆる田母神問題が起きたとき、あるところに、陸海空のこれらの四文字熟語を紹介し、同氏は典型的な航空自衛官だったと書いた。「勇猛果敢・支離滅裂」と思ったからである。
反応が意外なところからあった。防衛省内局のある筋が、「微妙に違う」という。その筋によれば、四文字熟語は次の通りだという。
・内局 優柔不断・本末転倒
・陸 用意周到・動脈硬化
・海 伝統墨守・唯我独尊
・空 勇猛果敢・支離滅裂
・統幕 高位高官・権限皆無
・防衛記者会 浅学非才・馬鹿丸出
統幕、記者会については、筆者が聞いていた話と一致するので、違いは陸についてである。もとより30年前の戯れ言であり、権威のある話ではないが、防衛省の筋の話が正しいのだろう。10年近く前に筆者に陸を「用意周到・優柔不断」と教えてくれたのは、ほかならぬ陸の国際派エリートだった。当時の陸自がそうだったのだろう。とくに国際協力活動にかんしては、そうだったのだろう。だが、いまは空気が違う。国際安全保障学会で話してくれた磯部晃一陸将補、吉田正紀海将補、織田邦男空将のいずれも優柔不断タイプではなかった。四文字熟語をあえて使えば、「用意周到・勇猛果敢」がそれに近いと感じ、司会席でそうコメントした。
なお、三自衛隊の精鋭たちがどんな発言をしたか、ご関心のある方は、ぜひ国際安全保障学会に入会されたい。同学会の年次大会では毎回、こうした企画が含まれている。入会希望者はhttp://is-japan.org/gakkai.htmlを参照されたい。手続き要領がそこにあります。
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