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2008-12-02 00:00
小沢の「超大連立政権」構想は可能性なし
杉浦 正章
政治評論家
「もう持たない。次は超大連立政権だ」と民主党代表の小沢一郎が怪気炎をあげているが、果たして麻生政権は通常国会で行き詰まり、「小沢首相」の下で選挙管理の超大連立政権ができるだろうか。このところ失態続きの首相・麻生太郎の態勢立て直し具合にもよるが、小沢が息巻けば息巻くほど自民党内が反発して固まる。小沢の“期待値”をまともに受け取ると、当たったためしがない。解散の風評源になったのが良い例だ。期待値と政局の読みとは別だ。 とにかく最近の麻生は散々だ。日経、産経両紙が「首相にふさわしい人物」の世論調査で、麻生と小沢が拮抗(きっこう)した。これまでは倍以上の開きがあったのだから、まさに由々しき事態だ。麻生の人気がここまで落ちた背景は二つある。一つはいったん打ち出した政策が揺らぐ。抜本改革を打ち出した後期高齢者医療制度の“うやむや化”に始まって、定額給付金問題に至るまでの迷走ぶりは、言い出したら不動を求められるトップにふさわしいかどうかの疑問を投げかけた。二つ目は言うまでもなく「慢性失言病」である。
民主党に同調して首相批判を強めてきた朝日新聞は、2日の紙面で「麻生政権では戦えない・党内懸念」「政権2カ月、失速状態」とどぎつい見出しをおどらせた。抑制気味の他紙に比較して、明らかに麻生政権打倒の紙面に踏み切った感じだ。民主党は、かさにかかって弱点を突き、その戦略を1月解散から通常国会での「政権退陣→与野党連立政権樹立」に照準を切り替えた形だ。幹事長・鳩山由紀夫は、あれだけ急かせた2次補正ですら、簡単に通さないと言明している。ましてや本予算も人質にとって、政権与党を責め続けるだろう。狙いは自民党分断による政界再編にほかならない。それでは自民党が「分断」するかどうかだが、元幹事長・中川秀直を中心に元官房長官・塩崎恭久、元行政改革担当相・渡辺喜美らが中堅・若手議員らと反麻生の「社会保障に関する議員連盟」結成の動きを開始した。
また拙稿で既に報じたとおり、民主党は「加藤農水相」で加藤紘一を取り込もうとしており、小沢との会談も実現している。しかしこれらはいずれも“疝気筋”の動きで、本筋ではない。とても全党的な盛り上がりを見せる様相を呈してはいない。元首相・森喜朗は「テレビが来ると、われ先にと麻生さんの悪口を言う。それなら自民党を辞めて、お笑いタレントでもやればよい」と痛烈に塩崎を批判。選対副委員長・菅義偉も「党内で改革を主張すべきで、テレビ向けにアピールすべきでない」と渡辺を批判した。要するに、今のところ麻生の“敵”は「お笑いタレント系議員」にとどまっている。本筋の動きには至っていない。なぜかといえば、次の首相候補がいないのだ。麻生は最後の切り札だったのだ。与謝野馨や小池百合子ではとても持たない。自民党内の大勢は「麻生を修理して、だましだまし使うしかない」(党長老)というところに尽きる。
300人の大政党だから落ちこぼれが当然出てくる可能性はある。総選挙敗北必至の悲壮感から、破れかぶれの動きも生じるかもしれない。しかし自民党の多数が割れて、小沢の下に合流し、過半数に達する「超大連立政権」になるかというと、とてもその力は小沢にはない。その場合逆に自民党から民主党に手を入れる動きも生じよう。政界再編そのものはあり得ないと言えないが、年末にかけての予算編成で麻生がリーダーシップを回復し、同編成を成し遂げ、通常国会に臨む態勢が整うかどうかにかかっている。オバマとの首脳会談も、政権てこ入れ材料になる。先の党首討論にはいろいろな反応が生じているが、一番肝心な点は、まじめにやれば麻生も弁舌巧みに切り抜けられるということだ。「慢性失言病」の発作を再発させず、明るさを売りに、思いつきのトップダウンをせずに対応すれば、態勢は再構築できるのだ。調整を済ませた上で、スピード感ある政治を断行すべきなのだ。
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