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2008-11-18 00:00
“党首会談”は小沢流の“裏政治テクニック”
杉浦 正章
政治評論家
なぜ一年間も党首会談を避け、党首討論にも応じなかった民主党代表・小沢一郎が急きょここに来て首相・麻生太郎との党首会談を持ちかけたのかが謎だ。複雑に絡んだ糸を解きほぐすと、一にかかって小沢が民主党内の求心力維持という党内対策のために党首会談を活用したという図式が浮かび上がってくる。麻生を“当て馬”に使って強硬路線に転換、党内のリーダーシップ再構築を狙ったのである。背景を見れば分かることだが、このところ民主党は政局の主導権を麻生に取られて精気がない。とりわけ麻生が予算成立以降の解散を明言して、民主党全体として目標喪失感にとらわれ始めている。小沢はこれまで常に早期解散発言を繰り返し、党内を引き締めてきたが、最後の頼みの綱1月解散もなくなっては、まさに“解散オオカミ少年”となってしまった形だ。当然党内からは「早期解散説を信じて資金も投入したのになんだ」という小沢批判がくすぶり始める。
ここで求心力を取り戻し、緊張感を維持するために、党首会談を申し入れたのだ。そもそも党首会談で麻生が、民主党ペースの政局に陥るのを承知で、小沢の言うとおり第ニ次補正予算案の国会提出に応じるわけがない。小沢はそれを知りつつあえて、ニ次補正を提出しなければ給油継続のためのテロ特措法案を通さないと持ちかける。おりから同法案は参院民主党が18日の採決を決定してしまっており、これを何もないまま覆すことは、さすがの小沢でも出来ない。そこで党首会談という大舞台を設定して、麻生が補正提出を拒否したことを口実に、テロ特措法の18日採決をつぶしたのである。要するに麻生の力を利用して自らの政治を行う、という高度の政治テクニックだ。
しかし当解説に読まれてしまっては、なにもならないことになる。民主党も未練がましく早期解散による政局転換にすがりつくのをやめ、当面腰を据えた政治に方向を定めた方がよい。麻生が負けるのを承知で解散をするはずはない。どうせ10か月以内には選挙があるのだから、民主党に自信があるのなら、堂々と国会で論議を戦わせて、国民の信頼を得ることだ。小沢流の“裏政治のテクニック”ばかり使っていては、政治の大転換は成し遂げられない。なぜか小沢は自分が提案した国会での党首討論を逃げ回っているが、ここは公開の場で麻生と対決すべき場面ではないか。
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