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2008-11-05 00:00
オバマ勝利の米国に積極外交を仕掛けよ
杉浦 正章
政治評論家
米大統領選挙でバラク・オバマが勝ったが、これを機会に首相・麻生太郎は従来の受け身の対米外交を脱して、積極外交に舵を切るべきだ。とりわけ金融危機対策を始め、北東アジア関係においてはイニシアチブをとるくらいの姿勢が必要だ。民主党政権は伝統的に対中関係を強化し、貿易問題でも保護主義的な色彩が強く、日本の外交を苦労させてきた。オバマの対日外交はまだ抽象的な域を出ていないが、対日政策顧問グループに、モンデール元副大統領、フォーリー元下院議長という民主党の長老政治家を加え、「日本重視」の姿勢を鮮明にはさせている。しかしキャッチフレーズの「変化」が象徴する外交姿勢は、アジア外交においては同盟国日本を「礎」としながらも、いずれ相対的な対中傾斜が目立つことになりそうである。超大国同士の外交は往々にして周辺国を置き去りにするが、置き去りにされたからと言って嘆くパターンを繰り返しても始まらない。
日本は親日的な共和党のブッシュ政権との外交で総じて良好な対米関係を維持してきたが、それでも末期に至って対北朝鮮外交で「テロリスト国家指定解除」という“裏切り”に出会う羽目となった。この事実が証明するものは、米国に比重をかけすぎると失敗するということだ。拉致問題も本来独自外交で処理すべき問題をブッシュ頼みにしすぎた。マクロの世界情勢は、金融危機という米国の“敗戦”で、米国の政治・経済上の力が減少し、米国が一国で世界をリードできる時代でなくなりつつある。加えて伝統的に日本に冷たい民主党政権に、受動的に対応してばかりいるのはいかがなものか。オバマは優秀な対日外交スタッフを擁するものの、本人は北東アジア外交など全くの素人と言ってよい。
首相は好転している対中関係を基礎に、熟知している北東アジア外交でオバマにアドバイスするくらいの姿勢が必要だ。北朝鮮外交でオバマがブッシュ政権の路線を継承するかどうかは予断を許さぬものがあるが、国務省はテロ指定解除の先に「北の承認・国交樹立」を視野に入れている。おそらくブッシュ政権の初期のように対北朝鮮外交で強硬路線に戻ることはあるまい。日本は拉致に拘泥しない独自外交を模索すべきであり、米政権の交代はよいチャンスだ。
金融危機対策も日本がリードできる場面は大きい。11月15日のサミットでは、欧米に比べて安定している金融情勢を背景に、首相は議長国としてヘッジファンドなど明らかに行き過ぎた“金融賭博”抑制に向けて動くべきだ。おそらくオバマとの接触の機会もあろうが、個別会談の時間を多くとるよう外交当局に指示すべきだ。オバマはアフガニスタンにおけるテロとの戦い強化を優先課題に据えるだろうが、ここでも米国に言われたから参加するという姿勢を転じ、独自に戦いに貢献できる方策を打ち出す方がよい。「給油」に甘んじている時ではない。総じて「対民主党」外交は受け身の姿勢では軽んじられるだけと銘記すべきであろう。独自外交があってこそ、互いに尊敬できる成熟した日米関係へと発展できるのである。
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