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2008-11-05 00:00
政府はゼロ金利政策の功罪を総括せよ
岩國 哲人
衆議院議員
10月27日の東京株式市場では、日経平均株価が一時、バブル後の最安値を更新しました。一時は7500円を割り込み、1982年11月以来26年ぶりの水準まで落ち込みました。これは、海外のヘッジファンドなど投資家・機関が手持ちの現金を増やすために保有株を売っていることが主な理由です。1999年からのゼロ金利政策により、海外の投資家・機関が、国際的にみて低金利である円を借入れて運用し、利益をあげる「円キャリー取引(円借り取引)」を行ったため、円が海外に流出しました。日本のマネーは、米国に行って、出たきりで帰ってこない。米国ではよく働き、それで、米国を元気にしました。逆にサブプライム問題では米国のマネーと一緒になって問題を大きくしたのです。
アメリカの株価が急落すれば、日本の金融機関は円キャリー取引の清算に失敗した海外の投資家・機関の不良債権を抱えこむことになり、日本経済にも重要な影響を及ぼします。また、日本の金利が上昇したり、円高が進行した場合、円キャリー取引を継続していると為替差損が拡大するリスクが高まるため、早めに円を買い戻す動きが出ることで円高が加速されることが懸念されており、円キャリー取引の問題は日本銀行の金融政策の新たな制約要因となっています。
国際決済銀行(BIS)が2007年6月24日に公表した年次報告書(06~07年度版)にも、「日本からの資金流出は世界各地で歓迎されざる効果を及ぼしている」旨の指摘がなされていました。伝統的に、通貨政策は各国の主権に関わる事項とされ、このような指摘がなされることは非常に例外的と言えます。そのうえ、この報告書が、サブプライム問題が今日のように大問題となる前に、こうした鋭いけい眼に基づく指摘をしていたことについて、日本の政策責任者はもっと注意を払うべきでしょう。また、ゼロ金利政策の結果、家計が受け取った利子所得の総額は、1990年度は約39兆円だったものが、2003年度には約5兆円にまで激減しました。これは、世帯あたりでは年間60万円以上の利子収入が減少したことになり、個人消費額の10%以上に相当する額です。
政府は、「金利の引下げによる経済活動の活発化を通じて雇用者報酬が増加し、マクロ経済全体として内需を拡大する」としてゼロ金利政策を継続してきた間に、米国においては利子所得は家計所得の約10%の額で推移しているのに対して、日本においては超低金利政策実施前には米国と同様に約10%だったものが、現在では約1%となっています。政府・与党の「緊急経済対策」においても、内需拡大が急務とされていますが、ゼロ金利政策を今こそ率直に総括し、そしてその結果を私は国民に説明しなければならないと思います。
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