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2008-10-11 00:00
世界金融危機:日本で何が出来るか
入山映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
紆余曲折はあったものの、不良債権に対する公的資金投入法案がアメリカ上・下両院を通過した。にもかかわらず、というのか、事態の深刻さに、というのか、全世界的な株安は一層進行した。日本の例に倣うなら、これに引き続いて銀行資本毀損に対する追加手当は必至であり、株式市場を中心として、国際的な波動は当分続くだろう。株というのは上がったり下がったりするから、一喜一憂しても始まらない。いずれ下がるところまで下がれば買い手も現れよう、と言うのが市場原理の筈だ。ところが一体買い手が現れるのか、いつ現れるのか、それは誰だ、みたいな論調が目立つ。アメリカが再度ニューディールの再現を実行するのか、それはブッシュが手をそめるのか、オバマかマケインになるのか、ま、それはアメリカ人の決めることだから考えても仕方がない。
考えて意味があるのは、日本で何が出来るのか、という話だ。例えばの話、プライマリー・バランスをしばらく諦めて、大幅減税に踏み切るか、それとも議員定数削減から始めて徹底的な行政経費削減にいたる青写真を抵当にした福祉拡大に踏み切るか、とにかく意思表明と行動が望まれている。解散だ、総選挙だ、どころの話ではない筈である。民意を問うて、それからおもむろに政策提示、という話にはならない。以前から言っているように、選挙なんてやってみても、与党に良いことは何もない。与党に都合の悪いことの起こる時期を引き延ばすのに、こんな良い口実はない筈だ。珍しく党利党略が国民利害と一致する例だと言っても良い。
ところが与党の世界観は、必ずしもそちらを向いていない。先の米国下院の法案否決に対して、女性議長だからリードが取れなかったとか、いまだに自民党三役にはちょんまげを付けたような人がいるのではないか、と言われかねない反応だった。民主党の長妻さんだけを一人かっこよくさせる与党答弁に明け暮れたり(それにしても長妻さんは素晴らしい)、これ以上延びたら選挙資金がもたないとか、政党政治の常套手段であるめくらましさえできないというのでは、本当に自公政権は末期症状なのかもしれない。自民党と公明党の意見が異なって、袂を分かつというのは、日本にとって悪いことばかりではないとは思うのだが、どうだろう。ここは麻生首相の正念場だと思う。秋葉原でキャラが立っているだけではないことを示す好機だ。
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