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2008-10-02 00:00
常任世話人だより:第7回「日・ASEAN対話」について
村上正泰
グローバル・フォーラム常任世話人
グローバル・フォーラムはいろいろな活動をしておりますが、その要にいる人間のひとりとして、その活動内容をできるだけ分かりやすい言葉で、広くフォーラム内外の皆様にお伝えする努力をすべきではないかと考え、今回を第1回として、今後ときどき気の向くままの言葉足らずのものになるかもしれませんが、私の所感のようなものを「常任世話人だより」と題して皆様にお伝えすることにしました。今回は、9月24-26日に開催された第7回「日・ASEAN対話」の模様について、所感を報告いたします。
「日・ASEAN対話」とは、グローバル・フォーラムがASEAN戦略問題研究所連合(ASEAN-ISIS)との共催により、2002年以来毎年東京で開催しているもので、今年で第7回目を迎えました。ASEAN各国およびASEAN事務局から合計12名が来日し、会議には総数107人が出席しました。「継続は力なり」と申しますが、この「日・ASEAN対話」は、今や日本とASEANの「トラック2」対話の場として定着し、双方を代表するオピニオン・リーダーたちが率直な議論を繰り広げました。他方で、「守成は創業より難し」とも申します。今回はこれまでの「対話」にない工夫をしました。すなわち、25日の公開「対話」の成果を26日に開催した非公開の「提言起草会議」で「政策提言」に取りまとめたことです。「政策提言」は、日本ならびにASEAN各国の政府に提出することになっています。これが今回の「対話」の大きな特徴であり、こうした工夫をすることによって、「対話」の議論もより実り多いものになったのではないかと思っています。
さて、今回の「対話」では、日本とASEANの協力関係についてさまざまな角度から議論が行われましたが、印象的だったのは、その両者の関係を論じるときに、中国をどう捉えるかという議論が常に出てきたことです。そして、東アジアにおいて日本と中国が対立したり、覇権争いをすることは望ましいことではなく、ASEAN側はそのような事態を望んでいないということが、多くのASEAN側出席者から強調され、日本側出席者からも同感の意が示されました。これは、今回の「対話」の共通認識の一つでした。しばしば日本国内では、「東アジア共同体」構想は中国を利するだけであるとか、反中大同盟を結成すべきだといった「威勢のいい」議論が聞かれますが、そうした意見は観念論でしかなく、現実には成り立ちえないことを痛感しました。むしろ、日本がそのような姿勢をとれば、かえってアジアの中で孤立し、そのような日本はアメリカからさえも見向きもされなくなるのではないでしょうか。むしろ、日本としては、日本が望ましいと考える地域協力のあり方を具体的に主張し、その中に中国も取り込んでいきながら、地域全体の共通利益の実現を図っていくということが重要だと思いました。
なお、「対話」の詳細についてご関心のある方は、グローバル・フォーラムのホームページに当日の会議資料と、読売新聞10月1日付朝刊9面の報道記事を掲載しておりますので、ぜひそちらのほうをご覧ください。また、一般公開セッションの速記録を含む「報告書」もいずれホームページに掲載する予定です。
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