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2008-09-11 00:00
公示なき衆院選挙と化した自民党総裁選
杉浦正章
政治評論家
自民党総裁選挙の幕が切って落とされたが、論議の焦点は候補間の対立軸より、対民主党戦略に向けられている。とりわけ民主党代表・小沢一郎の提示した政権構想基本方針の「財源問題」に“ばらまき非難”が集中、自衛艦の給油問題と並んで、民主党への対決姿勢が鮮明になっている。小沢は急きょ同党マニフェスト作成を急ぐよう指示したが、自民党ペースの「公示なき衆院選」の様相が生じている。小沢は自民党総裁選について「総裁選挙ごっこ」と述べて悦に入っているが、事態の展開は深刻である。“敵は本能寺”とばかりに、自民党候補らはもっぱら民主党批判を展開。アキレス腱の財源問題と給油問題で急所を突く発言を繰り返している。
これに対して、小沢一郎は21日の臨時党大会でマニュフェストの骨格を提示し、政策実現への工程を明らかにする方針だが、受け身の姿勢は明白だ。自民党の論議も悠長にマニフェストを待っている気配はない。むしろチャンスとばかりに、小沢の基本方針の矛盾を“食い散らかす”構えだ。10日立候補した自民党候補らの発言は、党内論議的には顕著な違いが生じていない。消費税について与謝野馨が「2015年までに10%」と導入を明言したのが目立つが、麻生太郎も導入を否定してはおらず、導入開始時期が問題になっているだけだ。総じて論議は抽象論にとどまっている。逆に給油問題では、全候補が継続で一致しており、対立軸をあえて鮮明にしないような雰囲気も見られる。これは1強4弱の流れの中で期せずして麻生を小沢との対決に押し出す舞台効果を生じさせるだろう。
しかし民主党批判となると、がぜん活気づいてくる。財源問題で与謝野馨が「民主党の政策はほとんど根拠がない。選挙に勝つための言いたい放題」とこき下ろせば、石原伸晃が「これでは財政再建は遠のくばかりだ」と批判。給油問題についても、小沢が憲法違反と述べていることについて、石破茂は「そんな政党に日本をまかせたら、気がついたときにはどうなっているかということだ」と切り捨てた。万一政権が民主党に渡った場合について、麻生は、小沢主導で作った93年の細川連立政権の例を挙げ、「1回やらせてみてはという事だったが、予算成立が7月になるというていたらくだった」とその危険性を強調。小池百合子も「安保問題で閣僚の意見が一致せず、署名ができないこともあった」と内情を暴露すると言った具合だ。
麻生太郎が、いみじくも「誰が小沢一郎と戦うのに一番ふさわしいか考えてほしい。経験豊富な麻生太郎しかない」と述べているように、総裁選は民主党との衆院選のゴングが鳴ったのと同じ事となった。民主党は“埋没の危機”とばかりに、幹部が総出で地方遊説を展開しているが、当面は自民党ペースに陥るのは避けられない情勢だ。民主党はまだ対立軸の一方の極としての立場があるが、共産、社民、国民新の各党は、それこそ両党の論議に埋没されかねない情勢が生じている。
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