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2008-08-20 00:00
米国民の76%は軌道変更を望む
石川純一
フリージャーナリスト
「米国は間違った軌道にはまり込んでいる」―米CNNが2008年7月28日から3日間にかけて行った世論調査によると、回答を寄せた米国民の76%がこのように考えているという。「正しい軌道上を走っている」と回答した者は24%にすぎなかった。この11月に迫った米大統領選の本選では、有権者は「間違った軌道」を走っている米国を救い出す、少なくとも救い出すだろうと思われる候補を選ぶことになる。各種調査を総合すると、現段階では、民主党のオバマ上院議員が共和党のマケイン上院議員に対し、圧倒的に有利に立っている。
CNNによれば、戦後の米国史上「間違った軌道を走っている」という回答が70%を超えた例は3回しかない。1974年のウォーターゲート事件の時、1979年の在テヘラン米大使館占拠・人質事件の時、1992年の経済危機の時がそれだ。ウォーターゲート事件では共和党のニクソン大統領が前代未聞の辞任、後任のフォード大統領は民主党のカーター氏に選挙で敗退した。米大使館占拠・人質事件の際は、カーター大統領が落選し、共和党のレーガン大統領が誕生した。1992年の経済危機では、湾岸戦争に勝利しながらブッシュ(父親)大統領が処理を誤って落選、民主党のクリントン大統領誕生となった。要するに「間違った軌道上を走っている」という回答が70%を超えた時、米国民は、政権の交代を必ず望み、共和党から民主党へ、もしくは民主党から共和党へという選択を行っているわけだ。間違った道を走っているならそれを正してくれる大統領候補を選ぶ、正してくれるだろうという期待を抱かせる候補に投票するという至極真っ当な論理がここには働いている。
米国の連邦予算は、クリントン前大統領の時は好景気が続き、1998年から4年間連続して黒字だった。ところが、息子のブッシュ大統領がホワイトハウスの主となってからはこれが逆転。大型赤字の連続で、連邦予算の累積赤字は史上最高の9兆5000億ドルにまで膨れ上がった。2007年8月から始まったサブプライム・ローンの破綻拡大と原油価格の急騰が、最終的にブッシュ政治にとどめを刺した。ネオコン型政治は、銭の問題の処理をついに果たすことができなかったのである。イラク戦争の評価は定まっていない。「テロとの戦い」に関する立場が違えば評価が変わってくるからである。が、2007年夏に1バレル当たり70ドル前後だった原油価格が、2倍以上の140ドル超となると、一般の米国民が「イラク戦争は間違った軌道上で行われている戦争であり、これが今の原油価格高騰を招いて家計を直撃している」と考えるに至るのは当然である。しかも、ブッシュ政権は高騰を抑える有効な手段を持ち合わせていないときた。
マケイン議員は、今後の選挙戦をブッシュ政権と距離を置いて、さらには否定する形で戦わなければ、少なくとも経済の局面では同じ未知数とはいえ、オバマ議員に「期待感」という側面で勝ち目はない。ブッシュ大統領にはあと半年しか残されていない。このままでは無為無策のまま経済を失速させた大統領という歴史的評価を甘受せざるを得まい。フーバー大統領が経済大恐慌に翻弄されて政権を去った70年前のように。
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