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2008-08-14 00:00
(連載)世界は新冷戦期に逆戻りするのか(1)
伊藤 憲一
グローバル・フォーラム執行世話人
「ロシアのやっていることは、本質的に1990年のイラクのクウェート侵攻と大差なく、これを放置すれば21世紀世界の新秩序は一挙に暗転するだろう」との8月13日付けの岡田章一氏の本欄への投稿に、まったく同感である。それにしても、ようやくいろいろのことが見えてきたようだ。日本の新聞では日本経済新聞が「米ロ『新冷戦』の様相」との見出しを掲げて、一番よく深層の動きに迫っているが、それでも欧米各紙と比較するとまだまだ表層的な報道に止まっている。以下に、本日(8月15日)現在での私の「読み」を披露し、皆さんのご批判を得たい。
どうやら今回のロシアの軍事行動は事前に周到に用意された作戦に基づくものであったようだ。それは満鉄線を自ら爆破しておきながら、中国側の暴発であるとして、一挙に全満州の制圧に動いた、旧日本軍の満州事変を想起させるものである。8月7日のグルジア軍の南オセチア進出は、南オセチアがグルジア領土である以上、なんら非難されるべき理由はないはずであるが、結果的には、この進出がロシアの「反撃」(という名目でのグルジアへの「侵攻」)に口実を与えた。その意味で、グルジア側には大きな判断ミスがあった。私は当初から、なぜグルジアはこんなリスクを犯したのかと疑問であったが、これはロシア側のしかけた「罠」(ニューヨーク・タイムス紙は「挑発」という言葉を使っている)にはまったためのようで、グルジア側はロシア側の考えていたことを、当時まったく予想できていなかったようである。
しかし、その点は米国も同じで、事変発生当時ブッシュ大統領は北京で五輪観戦中であり、初動に遅れただけでなく、ロシア側の真意に関する状況判断にも手間取った。ウォールストリート・ジャーナル紙は「ブッシュ政権の対応は『戦闘中』行方不明だ」と酷評している。つぎつぎと出した実効性をともなわない手探りの声明も、かえってロシア側に自信をもたせるだけの結果になったようである。(つづく)
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