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2008-08-01 00:00
アジアの海と陸の経済圏とその将来
西川恵
ジャーナリスト
最近、フィリピンのミンダナオ島とタイ北部の大メコン圏地域(GMS)に行く機会があり、アジアの海と陸という対照的な2つの地域の将来性に思いをめぐらせた。
頭文字をとって、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンの4カ国をBIMPという。この4カ国は無数の島伝いにつながっており、島々が連なる辺境一帯を4カ国が共同で経済開発していこうとの構想が以前からある。称してBIMP-EAGA。EAGAは「東ASEAN(東南アジア諸国連合)成長地域」の略称である。1992年にラモス比大統領が提案し、1994年に取り組みがスタート。当初、ミンダナオ島(比)、ボルネオ島(ブルネイ、マレーシア、インドネシア)、スラウェシ島(インドネシア)の3島が対象地域に選ばれ、その後、10地域が新たに含まれた。しかし構想は進展してない。最大の障害は、ミンダナオ島の和平問題だ。同島では30年以上、分離独立を求めるイスラム武装勢力と比政府の紛争が続いてきた。いまは停戦が成立しているが、和平の着地点はまだ見えない。主要3島のうちの1島が不安定では、構想も進まない。
ここをアジアの将来の海洋経済圏とすると、これに対応する内陸経済圏は大メコン圏地域(GMS)である。メコン河流域のタイ、カンボジア、ラオス、ベトナム、ミャンマー、中国(雲南)の6カ国を包含する一帯で、かつてここも辺境の不安定地域だった。しかしインドシナ半島情勢が安定し、麻薬地帯もタイ政府の撲滅運動で一掃。国境を越えた経済、エネルギー、物流などの協力が加速中で、成長センターになりつつある。構想スタートはBIMPと同じ1992年だが、いまはずっと先を行く。
ミンダナオ和平問題が解決した暁に、BIMP海洋経済圏がどう変貌するか、GMSが示している。日本から距離的に近く、しかも中東からのシーレーンを含み、その重要性は海洋国・日本にとってGMSに優るとも劣らないものがある。日本もかかわるミンダナオ和平問題は、一般に遠い出来事だが、実は日本の国益に直につながっているのである。
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