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2008-08-01 00:00
「テロとの戦い」完遂を公言したオバマ米大統領候補
石川純一
フリージャーナリスト
忙中閑あり、米大統領選。が、その中で、勢いに乗るオバマ上院議員。民主党大統領候補に確定しているこの黒人政治家の外交政策が、少しずつ体を成してきたようだ。同議員は15日、ワシントンで外交・国家安全保障の重要政策で演説。イラク戦争を「責任ある形」で可能な限り早急に終結させ、国際テロ組織アルカイダ、アフガン反政府武装勢力タリバンとの戦争を「絶対に勝たなければならない戦争」と規定した。「オバマ政権」が誕生したあかつきには、米国が先陣を取って進める「テロとの戦い」は、より純化された形で継続されることを公言したわけだ。
オバマ議員は、「切りがないイラクへの固執は、正しい戦略ではない」とブッシュ政権を批判し、戦略の転換が必要だと強調。自分がホワイトハウス入りした場合に追求すべき5つの目標として、(1)責任ある形でのイラク戦争終結、(2)アルカイダやタリバンとの戦いの完遂、(3)テロリストやならず者国家からの核兵器や核物質の防護、(4)エネルギー安全保障の確立、(5)21世紀型の同盟再構築、を挙げた。イランの核に関しては、イラン指導部と対話を行う考えは既に示しているが、これが「オバマ政権」の軟化路線ではないことを示した。
イラク戦争の「責任ある形」での終結に可能性を与えたのは、ほかならぬブッシュ共和党政権である。この21日、中東・欧州歴訪の一環としてイラクの首都バグダッドを訪問したオバマ議員は、これまでの「米軍増派反対」というかたくなな姿勢を変え、米軍増派がイラクの治安回復に大きく寄与したことを認めた。泥沼の内戦状態下にあるイラクからともかくも足を洗うという従来の主張から、イラク国内の治安はイラクの国軍にゆだねるという具合に、微妙にシフトしたのである。要するに、これまで全否定しきたブッシュ政権のイラク政策を評価したわけだ。
オバマ議員は25日、パリのエリゼ宮(大統領官邸)でサルコジ仏大統領と会談。サルコジ側はオバマ議員を現職の米大統領並に厚遇した。会談後には共同記者会見の場まで設定した。サルコジ大統領は「オバマ氏が当選すれば、フランスは喜ぶだろう」と事実上のオバマ支持を表明。オバマ議員は、フランスが介入に強く反対したイラク戦争には触れずに、イラン核問題やアフガン増派などで米仏両国が連携を強化していくことを確認、「イランは、サルコジ大統領と欧州連合(EU)が示す提案を受け入れるべきだ。(米国の)新大統領誕生を待つべきではない」とイラン側の迅速な対応を促した。
オバマ議員のこのような微妙なシフトは、共和党の大統領候補に確定しているマケイン上院議員も再三にわたり指摘しているが、オバマ議員の勢いをそぐまでには至っていない。この24日に行われた訪問先のドイツ・ベルリンの「戦勝記念塔」前におけるオバマ議員の演説には、何と20万人のドイツ国民が集まった。このオバマ演説について、ドイツ公共放送ドイチェ・ウェレは「オバマ氏は異例にも、大統領選を米国の外へもち出し、世界にアピールできる指導者であることを、人々に印象付けた」と好意的に評価。次期米大統領としてのイメージに関しては、オバマ議員がマケイン議員を圧倒している。
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