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2008-07-31 00:00
温暖化ガス削減は、先ず「頭づくり」から
湯下博之
杏林大学客員教授
北海道洞爺湖サミットが無事に終了した。今回のサミットでは、G8の首脳会合のみならず、中国、インドなどの首脳も参加する主要経済国会合(MEM)も併せて開催された。世界が、気候変動問題をはじめ、G8以外の主要国も参加せずには解決できない大きな問題に直面している今日、このような動きは新しい時代の到来を感じさせるものであった。最大のテーマといわれた気候変動の問題について、2050年までに世界全体の温暖化ガス排出量を少なくとも50パーセント削減するとの目標を、気候変動枠組条約の全締約国と共有し、同条約の下での交渉において検討し採択することを求めたことや、京都議定書の枠外にいる米国や中国も土俵に乗ったことは、一応の成果であったと言えよう。
問題は、これからどのようにして具体的措置に結実させて行くかである。この点に関して、私は、先ず何故50パーセント削減なのかという理由を周知させて、各国の政府、産業界や世論が、しっかりした目的意識を持ってこの問題に積極的に取り組むための「頭づくり」をすることが、極めて大切であるように思う。そうでないと、50パーセント削減とか、80パーセント削減とか言われても、京都議定書に定められた6パーセント削減でさえも実現できずにいるのに、無責任な発言、政治家が得点稼ぎのためにしている、いわばバナナの叩き売りみたいな話に聞こえてしまって、真剣に考えようという気にならないように思えるからである。
実は、私自身、そういう印象を持っていたが、或る会合に出て目を開かれた。即ち、地球温暖化現象は既に種々の問題を生じ始めており、今後事態は益々悪化する状況にあるので、何としてもこれを防止しなければならず、そのためには温暖化ガスの削減が必要である。では、どの程度削減する必要があるかというと、現在排出されている量の半分の量は自然界が吸収するが、それを超える分は温暖化の原因となる。したがって、現在の排出量を50パーセント削減すれば、温暖化を防止できるというのである。成る程、それならよく分かるというのが私の印象であった。でも、50パーセントも削減することは、技術的に可能か、また経済活動の維持と両立出来るか、ということが問題になる。
勿論、やって見なければ分からない面はあるが、これ迄の公害克服についての数々の経験や省エネ技術の開発の経験に照らせば、十分成功の可能性はあり、新しいビジネス展開の余地も少なくないと思われる。更に言えば、自然との共生は日本文化の特色である。温暖化を無くし、リサイクルその他の方法も活用して、自然と共生しながら豊かさを味わう新しい文化を、日本が先頭に立って世界に広めることが出来ればと思う。そういう「頭づくり」が大切だと思う。
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