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2008-07-25 00:00
日本の新聞・テレビのサミット評価は公正であったか
田島高志
東洋英和女学院大学大学院客員教授
先日洞爺湖で行われた日本主催のG8サミットは、多くの困難で緊急な課題と多数の参加国を抱えた中で、議長福田総理の指導力と準備段階からの長期にわたる日本政府代表団の努力が奏功して、将来に向けての重要な成果をあげたと思う。残念なのは、日本の新聞、テレビなどがその成果を十分評価せず、批判的な報道や論調が主流であったことである。例えばトロント大学の有名な「G8研究グループ」は、今次サミットに対し、78点というサミットの歴史の中でも抜きん出た高得点の評価を与え、福田総理の指導力についても「真の指導者」として「A」と評価した。これは、注目すべき専門家の評価であったが、それを報道したのは、読売新聞だけであった。例えば私の愛読する日本経済新聞さえ、遅れて同研究グループの評価に言及しつつ「それなのに各種世論調査では、福田氏が指導力を発揮したとみる人は4分の1程度にとどまっている」などと、よそ事のような論評を載せた。
一般市民は、メデイアの報道を通じてサミットの成果を知り、それに基づいて評価するのであって、一般市民の評価が低いのは、メデイアの報道ぶりに影響されているためである。さらに日本のNGOも、外国のNGOも、ともに日本政府に対して事前に厳しい要求と強力な圧力をかけたが、サミット終了後に外国のNGOからはコメントと同時に多くの評価の声が寄せられたが、日本のNGOからは殆ど反応がなかったと聞く。今回のサミットでは、北米、欧州、新興途上国、及びアフリカ諸国などからサミット史上最多の22カ国の首脳が参加し、それぞれ異なる立場と主張を激しくぶつけあった。8カ国首脳は3日間に、これまでのサミットでの約8ないし9時間に比し、今回はその倍にあたる計17時間も議論に集中した。それを福田総理は最後の段階で主催国として多少強引とも思われるリーダーシップにより前向きの結論にまとめ上げた。加えて各国首脳はすべて福田総理に対し、今次サミット及び一連の会議に満足と感謝の意を表して、帰国して行ったそうである。
これは、日本外交にとり貴重な資産を確保したことを意味し、気候変動問題をはじめとする重要な難題の解決に向けて、世界をさらに前進させる重要な貢献を行った、と見るべきである。日本人は自国に対し誇りと自信を持つべきであり、メデイアは政府批判をしていれば大衆受けするというような態度を捨て、勇気と知恵をもって政府の行動を公正に評価し、国民にも正確な情報と自信を与える積極的な役割を果たしてもらいたいと思う。
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