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2008-07-23 00:00
小泉さん、本当に自民党は「ぶっ壊れます」
杉浦正章
政治評論家
「自民党をぶっ壊す」といった元首相・小泉純一郎の改革路線が、本当に自民党を崩壊寸前の岐路に立たせている。首相・福田康夫は、内閣改造で小泉路線を転換せざるを得ないだろうし、自民党内外で小泉批判の合唱が生じているが、恐らくもう間に合わないだろう。絶対に外れないわなにかかった巨獣のように、自民党はもがいているだけかもしれない。もともと小泉の「自民党をぶっ壊す」発言は、いわば“反語”であって、国民大衆への目くらまし的な性格のものであった。郵政民営化選挙での圧勝がその性格を物語っている。この言葉が象徴する小泉改革には、明と闇がある。明はなんと言っても、日本経済をバブル崩壊に端を発する長期の低迷から抜け出させたことだろう。しかしいまその闇の部分が政治のすべてを律するようになった。
郵政民営化、後期高齢者医療制度、社会保障費削減の三大マイナス要因である。まず郵政民営化は、次期総選挙に向けて自民党最強の集票マシンである「全国郵便局長会」(全特)を敵に回した。地方素封家が多く、選挙でも圧倒的な影響力を行使できる全特が、民主党支持に回ったのである。この仕掛けだけは、鮮やかとしか言いようがない。国民新党の亀井静香の裏工作に、民主党代表・小沢一郎が乗った図式である。小沢は、全特会長の浦野修と会談し、次期衆院選で民主党が政権公約に「郵政民営化の抜本的見直し」を盛り込むとした合意文書を交わした。これにより、郵便局長とOB、家族らでつくる政治団体「郵政政策研究会」は、国民新党が推薦する民主党候補を支援する。もともと郵政民営化を口を極めて批判し続けてきた野中広務は、「特定局長は自民党に裏切られたと思っているのだから仕方がない」と冷ややかに述べているが、全特の自民党離れはまさに自民党の急所を突いた形である。
小泉改革の最大の問題は、消費税にフタをしたことである。小泉には、支持率低下を覚悟で消費税に取り組むという、かって大平正芳が見せたような「愚直さ」などあるわけがない。そのしわ寄せが、社会福祉と医療を直撃、自民党支持層の雪崩のような自民党離れを起こしているのだ。消費税にフタをして、後期高齢者医療制度を強行採決し、そのツケを福田康夫に回したのだ。高齢者の自民党支持は、一挙に失われる結果となった。社会保障費の2200億円毎年削減も、医師不足に象徴される医療現場をがたがたにした。小泉の極端な規制緩和路線も格差を拡大し、ワーキング・プアを大量に発生させる原因となった。元官房長官・加藤紘一にいたっては、秋葉原の大量殺傷事件も小泉改革に原因があると指摘している。
これに年金失政が加わり、高齢者ばかりでなく、国民の行政に対する信頼を喪失させる結果を招いたのである。通常国会が終わり、地元選挙区に戻った自民党代議士たちは、一様に選挙民の「自民党離れ」にりつぜんとして、口をそろえて「解散すべきでない」と述べている。すべては小泉改革路線に端を発した「構造的問題」が原因になっていることを、ひしひしと実感しているのである。高齢者、物価の急騰で主婦層、そして集票マシンまで自民党離れして、自民党は総選挙を迎えざるを得ないのである。まさにつきが落ちたとしか言いようのない状況に陥っている。YKKトリオの一人山崎拓も「小泉時代は終わった」と述べているが、気づくのが遅きに失した。
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