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2008-07-14 00:00
中国・吉林大学での講義:中国の変化を期待して
伊藤英成
元衆議院議員
先月、客員教授を仰せつかっている中国・吉林大学東北アジア研究院で恒例の年一回の講義をした。例年だと日本の政治情勢や日中関係が中心であるが、今回は最近中国におこった幾つかの出来事について多くの時間を割き、諸外国の受止め方も紹介しながら私の意見を述べることにした。言及したテーマは、(1)冷凍餃子問題、(2)チベット問題、聖火リレー問題およびそれらと北京オリンピックとの関係、(3)四川大地震などの「出来事」、ならびに(4)胡錦涛国家主席の訪日と日中関係、日本の政治情勢などである。最近の「出来事」の部分について、私の願望の念もこめて述べた概要・趣旨を紹介したい。
冷凍餃子問題では、「真相解明」が如何に重要であるか、そして真相解明と再発防止の必要性を強調した。日本国内で中国産食品への警戒感が強まっていることの具体的な事象を紹介しながら、「食の安全」への関心、食料自給率向上への議論についても論じた。
チベット問題、聖火リレー問題、北京オリンピックについては、日本政府の基本的立場は勿論のこと各国政府の反応を紹介しながら、人権とか伝統、文化、対話、そして透明性の重要性について述べた。また、日本の東京オリンピックの意義を説明しながら、中国が北京オリンピックや上海万博を経て、国際社会の中で大きな信頼を得ながらその役割を果たす国に一層なるだろうし、なって欲しいと述べた。
四川大地震については、被災者へのお見舞いを申し上げながら、ボランティア活動の活発化や地震に関する情報公開がかつてと比較し大きく進展していると伝えられているが、そのことの重要性、また、学校などの不良建築の原因究明の重要性も強調した。また日本の国際緊急援助隊や医療チームの活動も日中関係に大いに好影響をもたらすだろう。日中間においても困ったときにお互い助け合うことは重要だ。阪神淡路大震災の例を引きながら、中国社会がこの大地震を契機に変わる可能性を指摘した。
日中関係や日本の政治情勢の部分は此処では省略するが、最近の上記「出来事」やそこに付随して起こっている事象は、中国における格差問題、環境汚染、汚職・腐敗、不透明さ等々の諸課題の改善・解決のために、大いに貢献していくかもしれない、との期待をもちながら学生諸氏に語った。眠る学生は一人もいなかった。いつも真剣な目が嬉しい。
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