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2008-07-10 00:00
サミット警備の成功を讃える
小笠原高雪
山梨学院大学教授
洞爺湖サミットは混乱なく終了したが、厳重な警備をめぐって「不満」の声も出ているようである。たしかに、サミット期間中は、東京都内の地下鉄駅のジュースの販売機までもが停止され、私も暑いさなかに多少の不便を味わった。しかし、ここで忘れてはならないことは、2005年の英国のグレンイーグルズ・サミットの際、ロンドンで連続爆破テロ事件が発生したことであり、さらに2007年のドイツのハイリゲンダム・サミットに際しても、近郊都市で反グローバリズム団体などによる約8万人規模のデモが起こり、投石や放火などによって多数の負傷者を出したことである。
反グローバリズム団体は、経済活動の地球規模化が貧富拡大や環境破壊をもたらしていると見なし、グローバリズムを批判しているのだが、そのすべてが暴力的であるわけではない。それ以上に問題なのは、過激派の一部が、反グローバリズム団体と類似の主張を掲げ、反グローバリズム団体の一部との連携を強化したり、反グローバリズム団体を装って支持者を拡大したりしていることなのである。
テロ・ゲリラ活動が社会の内側で行われるものである以上、警備の対象が広範なものとなるのは致し方ないところがある。また、万一テロ・ゲリラ活動の防止に失敗すれば、その犠牲になるのは一般の市民であるし、国際社会における日本の信用と名誉も著しく損なわれる。以上のように考えるならば、サミット期間中の多少の不便は静かに受け入れ、警備の成功を讃えるくらいの気持を、私たちは持つべきであろう。
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