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2008-07-04 00:00
(連載)米国と北朝鮮の手打ちに翻弄される日本(2)
石川純一
フリージャーナリスト
福田康夫首相は6月25日夜、ブッシュ大統領と電話で約20分間会談し、米国が26日にも北朝鮮のテロ支援国家指定解除の手続きに入ることを前提に、拉致問題に関して日米両国が緊密に協力していくことを確認している。しかし、このプロセスが動き出せば、拉致問題は結局のところ日朝固有の問題として取り残されていくのは必至で、日本が困難な立場に立たされることは間違いない。結局のところ、北朝鮮の「拉致問題は解決済み」、米側の「拉致問題は忘れない」、日本側の「拉致問題を忘れないでほしい」という音頭の陰で、泣かざるを得ないのは拉致被害者の家族の方だけである。
北朝鮮は27日午後5時すぎ、平壌の北約90キロにある寧辺の核施設で、冷却塔(高さ約20メートル)を爆破、今回の外交儀式の「締めくくり」とした。この冷却塔は、実験用原子炉(黒鉛減速炉)が稼働する際に水蒸気を排出し、米国などが稼働を確認する「核活動の象徴」だったが、北朝鮮は今回の爆破で「核の無能力化」を国際社会にアピールしたことになる。この冷却塔が現在は使われてない「無用の長物」だったということなどは関係ない。儀式だから、爆破を世間に訴えることができれば、それでよし、というのが北朝鮮の立場である。核の無能力化そのものに関しても、使用済み燃料棒の抜き取りや未使用燃料棒の処理など作業の半分あまりが依然残っているが、現時点でこれがどう処理されるのかは不明。
金正日は、ブッシュ大統領の任期が半年を切ったことを熟知して、持ち駒を提示し、己の「偉業」を何とか後世に残そうとしたブッシュ大統領が、ここぞとばかりそれに乗っかったということである。フランスなどは、これを期に北朝鮮との外交関係樹立をほのめかしている。では、拉致問題はどうなるのか。国連の潘基文事務総長は6月28日の就任後初訪日を前に、日本のメディアと国連本部で会見。北朝鮮が26日に行った核計画の申告を「重要な進歩だ」と評価する一方、日本人拉致問題について「日朝2国間対話を通じ、問題が解決されることを期待する」とだけ述べた。あらゆる国が、日本の主張する拉致問題から手を引き始めた、あるいは既に手を引いた、というのが実際のところである。拉致問題は日朝問題。俺たちに関係ない、ということである。(おわり)
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