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2008-06-26 00:00
(連載)対アフリカ協力は官民一体で推進すべし(1)
河合正男
白鴎大学客員教授・元大使
5月末に横浜で開催された第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)には41名の国家元首・首脳が出席した。参加国数は51カ国に上った。1993年の第1回会議に出席した首脳級が5カ国だったのに比べると、同会議へのアフリカ諸国の期待の高まりを強く感ずる。ところが、この間に日本の対アフリカ援助は殆ど伸びておらず、それどころか2002年以降は他の援助国から大きく後れをとる状況が続いている。欧米諸国は、2001年の米国での同時多発テロ事件後、テロ活動の温床となっている途上国、特にアフリカの貧困問題の解決が重要だ、として援助量を急増させている。これとは逆に、日本は年々援助量を減らして来ている。EUはその共通政策として、全加盟国が「国連のミレアム開発目標(MDGs)」達成年とされる2015年までに、これまた国連目標であるGNI(国民総所得)比0.7%のODAを達成するとの決定を行い、各国が援助増を図っている。
日本の実績は2007年で0.17%に過ぎなかった。DAC(OECD開発援助委員会)諸国中最低レベルである。しかも、全体の援助量の中で対アフリカ援助は、EU諸国が押しなべて40%以上であるのに対し、日本は1990年代に15%程度であったものが、近年は10%をかなり下回るようになってしまっている。このような日本で開催されたTICAD IVに多くのアフリカの首脳が出席し、引き続き日本に期待を示してくれたことは、高く評価すべきである。日本の対アフリカ援助が口先だけのものと取られるか、本物と取られるか、まさにこれからが正念場である。近年、アフリカが注目されるようになっているのは、MDGsにある貧困対策の他に、資源高騰のためにアフリカの天然資源が注目され、アフリカの新たな経済発展が期待されるようになっているからである。日本としても改めて対アフリカ協力を重視しなければならない状況になってきている。
今般のTICAD IVで、日本政府は今後5年間で対アフリカODAを倍増するとともに、対アフリカ民間投資の倍増を支援することも打ち出した。欧州諸国は、すでに民間企業活動の支援の面でも先行している。近年DACで重視されている政策論の一つが、対途上国援助における「政策の一貫性」(Policy-Coherence)である。これは、途上国援助にあたり、ODAだけでなく、それ以外の貿易政策や国内産業政策等も含めて途上国の開発への貢献度を全体的に検討し、民間企業活動も含む途上国支援策を国全体として効果的に実施しようという政策論である。欧州諸国の中には、政府内にこのための担当部局を設ける国も出てきている。最近の資源高騰で、アフリカ諸国の一部は所得を急増させているが、これが国内の開発に有効に利用されず、資金が国外に流出してしまっているところが多い。結果として貧富の格差はさらに拡大している。欧州諸国が重視しているのは、自国の民間企業をアフリカで如何に活躍させるかだけでなく、相手国内の汚職を減らし、投資活動を活発にするための政策支援である。(つづく)
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