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2008-06-25 00:00
まず極東デタントに大網を掛けよ!
杉浦正章
政治評論家
北朝鮮の核申告と米国のテロ指定解除の同時進行が確定的となっているが、この際「一歩前進」でも前進を選択するのが賢明であろう。ソ連邦崩壊も中国の“資本主義化”も一挙には進まなかった。デタントとはそういうものである。大網を掛けていくしかない。最初から「拉致」をとるか「核」をとるかの問題設定には疑問を呈してきたが、自民党内には右派を中心になおその論議が盛んだ。米政府が北朝鮮の核計画申告に合わせて26日にもテロ支援国指定解除の手続きに入ることについて、前首相・安倍晋三は「日米同盟というきずなの問題にもかかわる」と大げさな懸念を示している。しかし対北強硬路線一辺倒の安倍政権時代、拉致問題は行き詰まり、打開の道は見出せなかった。
行き詰まりが続けば北の核開発、核弾頭小型化は進展する一方だ。日本国民全体の安全保障の問題を、「拉致」で前進を阻む方がおかしい。安倍も仮にも首相経験者なら、短慮で感情的発言は慎むべきだ。テロ指定解除はそもそも米国の国内問題であり、ブッシュ政権が懸案仕上げのためにカードを有効に使おうと思うのも当然だ。一部に「ブッシュ政権は成果を焦っている」との批判があるが、もうすこし善意に解釈した方がよい。レームダックでありながらも、極東の安全を考えているとみるほうが適切だ。要するに「国際常識の場」に北を引き出すのが重要だ。ソ連のゴルバチョフ、中国のとう小平に匹敵する政治家は北朝鮮にはいないが、北を雪解けさせる過程には、そうした人物が必ず出てくるだろう。
いったん雪解けが始まれば、主導権は経済援助を握る日本側が取る事ができる。その過程で拉致問題が決着に導かれるのは、不可避である。元幹事長・加藤紘一が「日朝関係改善に大きな影響のある米国の方針転換だ」と述べているのは、そうした大局を読んでいるからだ。軍部の強硬論が内在する北にしてみても、核申告は大きな「賭け」であることを見逃してはならない。従って、最初は「子供をあやすように」北を「国際常識の場」に引き出し、アメとムチを巧みに使って北の国家体制を変化に導く。問題は過去に常態化している北の「約束ほご」が今回も行われるのではないかという懸念であるが、その時はその時で対応すれば良い。米国もそれほど甘くはない。まず極東デタントの大網を掛けることこそが、拉致問題解決の道だ。
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