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2008-06-09 00:00
アフリカの夜明け:「暗黒の大陸」から「希望の大陸」へ
岩國哲人
衆議院議員
第4回TICAD(アフリカ開発会議)総会は、51カ国という「予想以上」の国からの首脳が出席し、日本の「期待以上」の具体的、積極的なアフリカ支援が表明され、開催地としての面目を保つことができたことを率直に喜びたい。各種の未開発の資源を保有し、国連総会の中で4分の1を占める53票という大きな票田を持つ一方、地球温暖化の影響を最も大きく受けて飢餓などに苦しむアフリカとどのように取り組むかは、先進国にとって最重要な経済・外交戦略になる。
アフリカは人類発祥の地とされながら、長い間「暗黒の大陸」という表現をされてきた。そのアフリカに、皮肉なことに地球の危機とともに暗黒から開放される希望の曙光(しょこう)が見え出している。私は欧州に駐在し、アフリカ、中近東も担当していたし、ここ2年間にはモロッコ、南アフリカなどで開催された国際会議にも出席し、アフリカ各国の最近の国内事情を耳にしているが、いずれも複雑な問題に苦しみ、近代的な民主制度が確立されている国はないと言ってもよいほどである。しかし、勇気を持って民主化のために戦っている政治家がいないわけではない。私が参加した、5月に北アイルランドのベルファストで開催された全世界の自由主義政党ネットワーク「自由主義インターナショナル」の総会で受けた二つの鮮烈な印象を報告してみたい。
まず現われたのが、「セネガル」のワッド大統領。今年4月29日、セネガルの政権交代が実現し、アフリカ初の自由主義インター加盟政党が政権を獲得した。ワッド大統領の「セネガルの未来、アフリカの未来、そしてわれわれすべての未来のために、予算の40%を教育に配分する大胆な予算を議会に提案する」という発言が、会場をどよめかせ、大きな拍手がしばらく鳴りやまなかった。
次に登場したのは、かつては「ローデシア」と呼ばれていた「ジンバブエ」のツァンギライ民主変革運動議長である。ムガベ現大統領は、2000年に白人所有大農場を強制収用したことによる農業技術の低下から、食糧危機や、第二次大戦後世界最悪とも言われるインフレが発生した。さらに、言論統制などの強権的政治姿勢が国際社会からも強い批判を受けている。3月29日に開始された大統領選挙は、ムガベとツァンギライの両候補の決選投票となり、各種メディアの調査ではツァンギライ議長が優勢であるが、与党の権力的抑圧下の選挙で、「公正な集計」が行われるかの疑問がある。
議長は、6月27日に発表される決選投票結果での勝利を確信し、投獄を含む度重なる迫害の中で、血の最後の一滴まで戦い抜くと声をふりしぼり、再び感動につつまれた会場からは、「アフリカにもう一人の自由主義インターの同志を大統領に」と期待する大きな拍手が湧きあがった。ケニア、南アフリカなどでも、強権的独裁の被害や、選挙制度、議会と政府のあり方をめぐる対立激化の報道が、4月、5月と目立って多くなってきている。勇気ある政治家は、もちろん二人だけにとどまるわけではないが、「暗黒の大陸」が「希望の大陸」、「太陽の大陸」と呼ばれる日までの道は遠い。しかし、その日は必ずやって来る。そのためにも、先進国と呼ばれる国が何を出来るのか、何をすべきなのか、注目し続け、日本もしっかりとその責任を果たしていかなければならない、そういう思いを一層強くしながら帰国の途に立った。
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