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2008-06-06 00:00
今朝のニュースあれこれへの所感
杉浦正章
政治評論家
◎タクシー“ミニ接待汚職”に安易な対応をするな
タクシー運転手から財務省職員が金品を受け取っていた問題は、ちゅうちょなく公務員倫理規定違反で厳重処罰すべきである。ミニ汚職は大汚職の始まりである。一方、運転手側の問題については、国土交通省次官・峰久幸義が道路運送法上の解釈に関して「一般的に儀礼的な意味で商品券を渡すことがあるかもしれないので、一概に悪いとは言えない」と述べたというが、あきれた。無駄遣い専門の国交省の判断基準で、善し悪しを判断してもらっては困る。「違法な値引きに当たる」との解釈もある。ぬるま湯対応をすべきではない。この問題は恐らく霞ヶ関官庁に共通の問題を抱えている。要するに運転手からしてみれば、毎晩2万5千円の料金を払ってくれる客は“特上“の客であり、何としてでも囲い込みたいのだ。だから電話で“予約”する毎日だったのだろう。それでなければ総額150万から200万円の現金やクオカードを渡すわけがない。この“特上客”は財務省に限らないようであり、タクシー業界を潤しているに違いない。いうまでもないが、毎回2千円から3千円の金品をもらい続ければ、これが習慣となって身につき、より大きな汚職に発展するのは間違いない。すり込みである。10年前のすり込み型“接待汚職”を財務省幹部は忘れたわけではあるまい。ここは首相官邸から全省庁に厳重指示をする場面だ。だいたい民間では2万5千円もタクシー代がかかる職員を残業などさせない。ルーズなマスコミでも最近は引き締めている。官庁には親方日の丸意識が根底にあり、監督責任もなっていない。
◎「後期高齢者医療制度」で各紙論調に変化の兆し
全国紙は後期高齢者医療制度に関して、ほぼ制度維持での改善論だったが、ここにきて、低所得者ほど負担増になる傾向が分かって制度上の欠陥指摘に変わり始めてきた。今日の社説や論調は変化の兆しを見せている。毎日新聞は「厚労省の保険料推計調査で、低所得者ほど負担減となり高所得者ほど重くなるとの説明が、事実と違うことが分かった。これは新制度の根幹を揺るがすものであり、仕組みそのものが間違っていたのではないか、という声が高まることは間違いない」と述べている。制度そのものに疑問を投げかけたのは、毎日の社説が初めてである。一方朝日新聞は、党首討論のテーマに関連して「最大の焦点はやはり後期高齢者の医療制度の問題だろう。民主党が言うように、制度をいったん元に戻して新たに作り直すべきなのか。政府与党が検討している低・中所得者向けの負担軽減策がいいのか。社会保障の受益と負担のバランスの将来像を含めて、聞きたい論点はいくつもある」と述べた。これまではっきり制度は維持すべきとの主張だったのだから、これでは白紙に戻したことになる。あまりの不評に、社説子も揺らいできたのだろうか。同じ朝日の天声人語は「もう設計ミスである」と断定している。
◎自民党の採決欠席は野党になる練習か
参院厚生労働委員会は、後期高齢者医療制度廃止法案を野党の賛成で可決したが、自民、公明両党は、岩本司委員長(民主)が同日の採決日程を職権で決めたことに反発し、委員会を欠席した。このところ参院自民党は、何かにつけて欠席戦術を取るが、見苦しい。すくなくとも政権政党なのだから、堂々と最後まで論戦を戦わせて、採決に加わるべきだ。これではかっての社会党並みではないか。それとも解散・総選挙で勝ち目がないと判断、いまから野党になる練習でもしているのだろうか。
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