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2008-05-30 00:00
(連載)日中関係について思うこと(2)
湯下博之
杏林大学客員教授
日本と中国がお互いにとって、極めて大事な国であることは言うまでもない。しかし、両国関係を良好なものにして、相手に利益のあるものにするためには、現在のような相互理解も相互信頼も十分ないままに不正確な情報に踊らされたり、感情論で反発したり、不用意な接触をして問題を招いたりする状況を改めて、それなりの取り組みをすることが不可欠である。また、日中関係が良いものになることは日中両国にとって望ましいことであるのみならず、周辺諸国からも期待されていることである。
特に東アジア共同体構想が真剣に検討されるようにするなり、東アジア諸国間の地域グループとしての協力が進む中で、日中両国が健全なパートナーとして存在し行動するかどうかは、21世紀のこの地域の運命を左右する問題である。今回の胡主席訪日については、具体的な懸案の解決に至らなかったこともあり、成果について種々の見方があるとも聞く。
しかし、国家元首の国賓訪問は具体的な懸案の解決のために行うものではなく、両国間の友好親善関係の増進や大局に対する考え方のすり合わせや確認のために行われるものである。したがって、今回の訪問は大きな成果を挙げたと言ってよく、両国関係を地に足がついたしっかりしたものにするためのスタートが準備されたと言ってもよいであろう。日本の国益のためにも、周囲の国々のためにも、この好機を生かしたい。(おわり)
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