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2008-05-29 00:00
(連載)日中関係について思うこと(1)
湯下博之
杏林大学客員教授
中国の胡錦濤国家主席の国賓としての訪日が実現した。10年前の江沢民国家主席の訪日の際は、同主席が訪日中にいわゆる歴史認識の問題に度々言及して、冷めた結果に終わったが、今回はそのようなことはなく、日中両国首脳間で日中両国の進むべき道、大局に対する信念の共有が見られたことは、大変喜ばしい。また、福田康夫首相と胡錦濤国家主席が署名した「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明という、両国関係についての基本文書が発出され、両国関係に関する基本認識に加えて、今後の相互理解と相互信頼の増進のための種々の決定がなされた。
特に、原則として毎年どちらかの首脳が、もう一方の国を訪問することに決め、安全保障分野におけるハイレベル相互訪問の強化や、両国のメディア、友好都市、スポーツ、民間団体、青少年の交流等も幅広く展開することが決定されたことは、喜ばしく、その着実な実現が期待される。私は、かつて1986年から1988年まで北京の日本大使館で公使を勤めたが、その時の強い印象は、一部の例外は別として、日本人も中国人もお互いに相手のことが分かっていない、ということであった。ただ考えてみれば、無理のない面もある。
古い世代の人々にしてみれば、戦争の経験しかなく、その後の世代は、国交がないため直接の接触がなく、1972年に国交が正常化した後も、「友好!」とか「乾杯!」とかいった、表面的な交際はしても、真に分かり合えるような、深い付き合いはあまりなかった。そして、このような状態のまま、経済を中心に両国間の接触が増えていくと、数々の摩擦や誤解が生じ、しかもそれがこじれてしまうことが強く懸念された。当時、北京に来ていた日本人の中には、日本と中国が「同文同種」と言われることを根拠にして、両国人は共通点が多いはずだと思い込み、日本でビジネスをするのと同じ感覚で行動し、その結果、日本と中国が同じではないことを知って、当惑している人すらいた。(つづく)
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