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2008-05-28 00:00
(連載)サブプライムローン問題と少数者の結託の可能性(1)
池尾愛子
早稲田大学教授・デューク大学客員研究員
2006年頃にアメリカでの住宅価格高騰のバブルが鎮静化すると、サブプライムローン(低所得者向け住宅融資)の返済滞りが大量に顕在化し始めた。そしてサブプライムローンを組み込んで、世界の市場に出回っていた証券(住宅ローン担保証券)の価格が下落した。2007年以降、そうした証券を保有していた金融機関の中には大きな損失を処理するものが相次ぎ、破綻するものも出ている。サブプライムローンを組んだり、証券化に携わったりした金融機関の株の格付けや価格も下がり、破綻するものも出ているので、この点では市場は間違った判断をした金融業者に罰を下したといえる。
もともとサブプライムローンは、通常では貸出対象となっていなかった延滞リスクの高い集団への住宅融資であり、したがって平均して高金利が課されている。しかし、当初数年の返済額を低く抑えたり、あるいは最初の1年は返済額ゼロにしたりして、一定期間が過ぎると(返済が不可能なほど)返済額が一挙に増加するが、もし住宅価格が続伸すれば住宅を売却することによって返済が可能になるという理屈になっていた。もちろん常識的には、一層の住宅バブルを返済にあてこむような融資は本来してはいけないのである。
住宅景気がバブルに突入するのは、結局破綻することになる金融機関が「融資すべきではない人たちに融資をした」時からになる。5月初め、この問題についてのあるTV討論番組において、経済学者のポール・クルーグマン氏が使った言い回しである。「すべきではない融資をした」金融機関の責任の大きさを指摘する同様の論調は、昨年、別のアメリカ人経済学者からも聞かされ、じっくりと議論する機会があった。ただ、素人のような貸金業者に対しても規制をすべきだとは言わず、どんな金融業者でも「すべきではない融資はすべきではない」と批判する彼らには「個人の自由」を価値として護る精神が感じられた。(つづく)
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