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2008-05-15 00:00
成果の多かった胡錦濤主席の訪日
上田勇
衆議院議員
胡錦濤中国国家主席の訪日は、福田総理との首脳会談などで、新たな日中協力関係の確立に向けた成果の多いものであったと評価しています。胡主席は、神奈川県や近畿地区を訪問した他、早稲田大学での講演や卓球の手合わせ、パンダの貸与など、友好ムードを盛り上げるのに相当気を遣ったことがよく分かります。中国としては、北京オリンピック開催を控えて、チベット問題を巡り国際的な見方が厳しさを増す中で、日本との友好関係の必要性に迫られた面があります。特に、最近の毒入りギョウザや東シナ海資源開発などで、日本国民の中国に対する不信感が高まっていただけに、国民感情の改善にかなり努力したものと思います。私も、5月7日に行われた太田公明党代表との会談に同席し、中国側の腐心を強く感じました。
日本国内では概ね今回の胡主席の訪日を好意的に受け止めており、中国側の意図は十分達成されたと感じます。また、日中首脳会談等を通じて具体的な成果も上がったと思います。洞爺湖サミットの最重要テーマである地球環境問題について、気候変動に関する共同声明が発出された他、毎年4,000人の青少年交流の実施、文化センターの相互設置協定の締結、中国の省エネルギーへの協力スキームなど多くの具体的な事項が、共同プレス発表に盛り込まれました。経済的・政治的影響力が増大しつづける隣国中国との間で、安定した協力関係の構築について合意できた事は、我が国にとって有益なことだと考えています。また、アジア地域の平和と繁栄にとっても重要だと感じています。安定した関係の上に立って、具体的な懸案の解決の方途が見えてくるのではないでしょうか。
中国も、これから国際社会の信頼されるメンバーとなっていく為には、解決しなければならない課題が山積しています。環境の保全、人権の擁護、表現・信教の自由、知的財産権の保護、法の支配の確立、国際社会と調和した途上国支援と数え切れません。こうした課題解決に向けて、中国としても積極的に取り組んでいくことを期待しています。また我が国としては、これからの対中支援は従来の円借款によるインフラ整備中心から、日本の経験や知識を生かしたソフト面に、軸足を移していくべきだと考えます。四川省を中心とした大地震が発生しました。我が国の政府が迅速に積極的な支援を表明したことは、国際社会に対してわが国の対中友好姿勢を示す上で適切であったと思います。中国側も情報をきちんと開示するとともに、海外からの支援を率直に受け入れる姿勢を示すことによって、その好感度が上がるのではないでしょうか。
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