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2008-04-24 00:00
(連載)虎の教え(2)
岩國哲人
衆議院議員
『動物たちのビジネス・ゼミナール』の原題は、“The Way of the Tiger”(虎の教え)だが、虎以外の動物も数多く登場するので、『動物たちのビジネス・ゼミナール』としたものである。ノブナガという名のニホンザルも登場して、カイゼン(改善)という日本の概念を持ち込んだことで、動物園社会に新しい一つの哲学を加えた、と感謝されている。
物語は、「タミアス」という名の一匹のシマリスが、動物園社会に新しく加わるところから始まる。物語では、ゴースト・タイガーの「ムース」とインド・コブラの「ネメシス」を登場させ、リーダーシップのあり方について詳しく対比させている。「ムース」は傾聴の法則も説いている。「真摯に傾聴することの大切さは、経歴が長く、地位が高まるほど、増大する」というものだ。
ついに、「ムース」の教えを学んできた「タミアス」が、「ネメシス」と対決する日がやってきた。彼は渾身の力を込めて、こう言い放つ。「古びた過去に盲目的に従うより、未来に希望を抱きたい・・・。能率、生産性、管理統制に躍起になるより、技術やチームワークにもっと目を向け、職場の環境と生活の質を向上させるべきです。これこそが仕事を向上させる最も良い方法です」と。
あらゆる原理・原則を踏まえた上で、「ムース」はこれからの組織に求められるビジョンについて、髭についた水滴をなめながらこう語っている。「ほとんどの組織に美学が欠けている。見た目は立派だが、香りのない花のようなものだ。だが、美学こそ、わしらが直面している最も重要な課題なのだ」と。これこそ、私たちが今直面している「豊かさを求める日本」の大きな課題だろう。20世紀の経済発展とバブル崩壊の後に創造される新しい価値観に基づいた組織は、まさに美学を追求するものでなければならない。(おわり)
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