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2008-04-21 00:00
日本経済の行方と野党の責任
田島高志
東洋英和女学院大学大学院客員教授
世界経済は、グローバル化とIT化とにより市場経済及び自由貿易地域が拡大するという構造上の変化を遂げた。それは、米国の長期好況、BRICs等途上国の台頭を生み、世界の輸出総額が2001年から2005年までの5年間に約6兆ドルから約12兆ドルへ倍増するなどの高成長を実現させた。
しかし、2007年夏からのサブプライム・ローン問題により米国経済が急減速し、世界経済に影響を与えつつある。IMFによれば、2008年の世界経済成長率について、過去3年続けた5%成長から3.7%成長に鈍化する見通しである。他方、日本経済は世界のGDPに占めるシェアが、1994年の18%から2006年には9%へと半減しており、少子高齢化に伴い労働力人口や市場規模の縮小が進めば、日本経済の相対的地位はさらに低下すると見られている。
日本のODAも、2000年まで10年間世界第1位であったが、2007年には第5位に転落、間もなく第6位になると見られている。一人当たりGDPも、OECD諸国中第2位であったが、2006年には第18位になるという。このような状況に対し、OECDは本年3月各国が一人当たりGDP拡大のため取り組むべき優先政策を提示した中で、日本に向けた提言として、サービス分野での更なる自由化、正規雇用者保護の緩和、農業生産者支援の改変、イノベーションの促進、対内直接投資の増加などを挙げた。
ところが、日本はねじれ国会の中でこのような政策課題が十分議論されず、日銀総裁問題にも見られたとおり、野党が国益よりも党益を優先させ、貴重な時間を空費している。民主党は、民意は自党にあると主張しているが、世論調査に見られるとおり、国民の支持率は与党の方が上なのである。今は政局論議よりも、G8サミットを控えて山積している経済政策、環境政策など重要課題にもっと真剣に与野党協力して立ち向かうことを、国民も世界も求めていることを、野党は自覚すべきではなかろうか。
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