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2008-02-12 00:00
日米同盟の変革をめざす不断の努力を
小笠原高雪
山梨学院大学教授
先日、横須賀を母港とするキティホークを、学生とともに見学する機会があった。米軍側の姿勢はオープンで、空母の内部をじっくりと見ることができた。日米同盟の絆の固さが、そんなところにも現れていたのかもしれないと思うと、決して悪い気持はしなかった。
ただ、横須賀を訪れるたびに、ある種の感懐を抱くことも否定できない。日本海軍が営々と築き上げた海軍基地の大部分が米軍によって使用され、海上自衛隊はその周辺部に分散している。これが太平洋戦争の厳粛な結末だ、と言ってしまえばそれまでであるが、今後もこの状態が続くのだろうか。
そうこうするうち、沖縄で再び不幸な事件が起きた。この種の事件は米国軍人だけが引き起こすわけではないが、そうでなくても巨大な米軍基地を抱える沖縄で起きた事件に、失望と反発が広がりを見せているのは当然であろう。岩国市長選で移駐容認派の候補が勝利を収めた直後だけに、日本政府の困惑もひとしおであるだろう。
日米安保体制は、冷戦の極東への波及のなかで次第に形成されたものであるが、その性格を決定づけたものは、朝鮮戦争の勃発だったといえる。朝鮮半島情勢の帰趨はまだまだ予断を許さないし、極東にはそれ以外の緊張要因も存在している。しかし、短期的にはともかく中長期的には、米軍基地の整理縮小へ向けた戦略づくりを忘れるべきではないであろう。
そして、そうした戦略の基礎には、日米同盟を共同防衛体制に発展させる不断の努力がなくてはならない。この大前提を忘れた米軍基地の整理縮小論は、結局のところ現状を追認するだけに終るであろう。現実的でしかも創造的な安全保障政策はどの勢力から生れるだろうか。豊かな政治経験をもつ与党であろうか。それとも政権交代を標榜している野党であろうか。
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