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2008-01-31 00:00
春の賃上げと日本の品格
伊藤英成
元衆議院議員
いわゆる「春の賃上げ」シーズンとなった。経団連は「春討」の時期といっている。経団連と連合との話し合いも始まった。私は今回の「賃金引上げ」あるいは「労使交渉・労使の話し合い」が日本社会の「健全化」に資するものとなるよう心から念じるものである。
米国のサブプライム問題を契機に世界株安が起こり、世界経済もきわめて不安定になっている状況も春闘に大きな影響を及ぼすであろうが、日本がこれから世界の中で適正な経済成長を達成していくことは日本の財政再建のためにも、また日本の社会保障制度を維持するためにも必要である。そのためにも、私は、日本社会を「健全な社会」にすることが必要だと考える。
ここで私が「健全な社会」と述べる問題意識は、日本の労働市場のことであり、多くの低賃金の非正規社員問題をはじめとするいわゆる格差問題である。度の過ぎた格差社会は「健全」ではない。日本が健全な社会の国として発展することを切に望むからである。それも品格ある国の一つの要素であろう。
非正規社員にもいろいろある。いろいろ多様な形態の働き方がある。期間従業員、パートタイム労働者そして派遣社員(派遣にも専門職もあれば単純労働の派遣もある)等々と。更には大企業と中小企業の間の格差もある。最も肝要なことは、夫々の形態で働く労働者が合理性と公平感を抱けることである。具体的政策はここでは触れないが、労働市場や賃金のあり方が、人々の安心感教育、社会保障、犯罪、結婚、少子高齢社会等々の諸課題の行方に深く関連することはいうまでもない。
いまアメリカでは大統領選挙の指名争いが激しく展開されているが、民主党オバマ候補も、経済格差拡大につながりかねないとして自由貿易に疑問を呈したり、低賃金にあえぐ勤労者の権利確保を重視している、と伝えられている。格差改善のために積極的に取り組んでいる国は多い。日本も大きく前進することを強く期待したい。
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