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2008-01-07 00:00
油か、水か、日本の貢献
岩國哲人
衆議院議員
日本は第二次大戦の悲劇を最もよく知る国の一つ、そして原爆を体験した唯一の被害国である。日本は、「普通の国」を目指すべきだという俗論があるが、日本は「普通の国」どころか、「普通の国」以上に戦争の脅威と平和の大切さを声高に語らねばならない、世界でたった一つの国ではないか。そのような国だからこそ日本は、戦争を回避するためにあらゆる外交と国際協調のための先頭に立つべきだろう。
欧米の大国はいずれも歴史上、中東を中心としたイスラム文化圏において、植民地化や戦争を招いたかつての当事者であり、それに比べて、経済大国といわれる国の中で幸いにも日本だけがそのような歴史を持ってはいない。アラブ諸国に対して、日本は加害者となったことは一度もなく、武器を生産する充分な能力を持ちながら武器を輸出したこともない。その点において日本は、歴史的に加害者であった欧米列強とは一線を画してきている。
「日本だけが分かってくれる、日本の言うことなら耳を傾けてみたい」という声を、日興証券ベイルート所長だった私は何度も聞いてきた。このような日本に対する好意と親近感に対して、日本は充分に感謝を尽くし、適切な対応をしてきただろうか。「鈍感力」重視の日本。国際的鈍感と国際的安閑は二人三脚である。鈍感と安閑のもとでは「発想力」は育たない。
アラブ、イスラエル、アメリカ、こういう一神教の国同士の憎悪や対立を解消するのは容易ではない。だからこそ、宗教的にも伝統的にも多神教土壌の国日本が積極的な役割をはたすべきだろう。「イスラム開発援助国際会議」を欧米の国に先駆けて日本が提唱することを、六年前に私は予算委員会で小泉総理に提案した。このような国際会議を提唱することは、アラブとの歴史におけるいくつかの戦争と過失、いわば「歴史の不良債権」に苦しむ米国や英国には期待できない役割である。
イラクへの自衛隊派遣など、どこの国にもできることはよその国に任せる。この会議が成果を挙げれば、欧米先進諸国とイスラム最貧国等との経済格差が縮小され、若者を危険なテロ行動へと走らせるマグマを鎮め、いわば「欧米諸国へのセーフティ・ネット」を構築し、先進国の自由と平和を守ることにつながる。まず、国連決議に加えて米国をはじめとする国際社会からも日本に対して強い要請のあるアフガニスタン、パキスタンのテロ対策と経済的支援への取り組みを急がなければならない。
油だけの、いわばインド洋のガソリン・スタンドだけが日本の貢献ではないことを、この際しっかりとアピールしておく。油か水かと問われたら日本の回答は「油ではなく、水」、「油よりも水」、「武力(行使)につながりやすい油ではなく、民生(重視)の水」を日本の方針とすべきではないか。アフガニスタン、パキスタン両国を対象とする水利事業、淡水化事業、灌漑農業用水の確保、衛生、医療体制の改善など、まず水に関連する事業に、日本のヒトと技術を提供してはどうか。
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