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2007-12-26 00:00
ロシア情勢の予見可能性の高まり
須藤繁
シンクタンク研究員
これまでロシア情勢の評価に関しては、予見可能性の欠如が指摘されてきたが、9月の首相交代、統一ロシアの党大会でのプーチン大統領の「2008年3月に首相になるのも一つの選択肢である」との発言は、ロシア情勢に関する予見可能性の高まりという点で大きな意味をもつものであった。また、12月に入ると、2日に実施された議会選挙の結果を受け、ロシアの重要な2つの政治ポストが、10日程の間に事実上決まるという展開がみられた。10日、プーチン大統領は与党の首脳がメドベージェフ第一副首相を大統領候補に推挙することを了承する一方、11日メドベージェフ候補は、プーチン大統領を首相に指名する意向であるという異例の発表を行った。新大統領候補と次期首相指名の相互交換は、ロシア情勢の予見可能性を一層高める方向に働くと評価される。
メドベージェフ第一副首相は、18日モスクワで西シベリアに位置するユジノ・ユースコエ・ガス田の操業開始式典に出席した際「ロシアは、大規模かつ大胆な実務的提案や相互利益につながる協力に開かれている」と述べ、同国が将来、外国資本の進出を促す考えであると表明したことが注目された。
一方、ロシアは世界最大の天然ガス生産国であるが、世界的な天然ガスの消費拡大に伴い、新規ガス田開発の必要性に直面しており、このためには西側の資金と技術を必要としている。メドベージェフ第一副首相は、ロシアにとっては経済の持続的成長が課題であるとしており、自ら大統領に就任すれば、ロシアの経済成長を支えるエネルギー・資源開発のために欧州を中心とする外国投資をさらに促す考えであることを明らかにした。
こうした外資導入策の促進は、ロシア情勢の予見可能性をさらに高める方向に働くことは明らかである。しかしながら、このような予見可能性の高まりは、同時にエネルギー市場においてロシアのエネルギー資源の国家管理の方向が定着する可能性を示唆するものであり、石油産業動向の観点からは、原油価格を高値安定の方向に導く要素を内包していると評価されるのである。
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