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2007-12-18 00:00
日本はより積極的な対ミャンマー政策を検討せよ
田島高志
東洋英和女学院大学大学院客員教授
先日1年ぶりにミャンマーを訪問した。最近のデモ騒動と武力鎮圧及び長井さんの不幸な殺害事件の後であり、現地の様子を直接観察する機会となった。デモ騒動の背景についてミャンマーの有識者の大方の見方は、最近の急激な物価上昇により市民の生活が苦しくなり、僧侶への寄進が激減したため、特に若い僧侶の生活が困難となり、その窮状を訴えるデモ行進が静かに始まり、それを利用して、学生や反体制派がデモの拡大を図ったため大きな騒動となり、結局軍政側の武力鎮圧の事態を生んだというものであった。現在ヤンゴン市内は郊外も平穏で兵隊の姿もなく、平常の生活が行なわれている様子であった。
政治情勢については、軍政とスーチー女史との対話が実現するかは不明との見方が強く、実現した場合でも両者間の対立が解消されることはなく、軍政が既定のロードマップ路線を続けることになろうとの見方が強かった。現在起草中の新憲法草案は完全な民主主義には遠いとしても、僅かながらの前進と受け止めて、それに基づく選挙を行い、その後の一層の民主化への道を探るのが現在可能な現実的な道ではないか、との見方も知識人に見られた。特に政府側は、現状の変化を願望している市民にとり、新憲法制定は現状脱却の初めての機会であるから、国民投票では必ずや賛成票が多数になろうと見ていた。経済は、天然ガスの輸出増により外貨保有高は増大しているが、ガソリンやデイーゼルを一昨年比10数倍に値上げするなど、政策の不透明性が著しかった。ただ、貿易投資については、最近輸出入ライセンスの発給が緩和されたり、中古機械の輸入が解禁されたり、輸出先行策がなくなるなど、対外経済関係措置に若干の改善策が見られる由であった。
先月のアセアン首脳会議では「アセアン経済共同体青写真宣言」や「アセアン憲章」が採択され、アセアン+3首脳会議では「東アジア協力に関する第二共同声明」が採択された。続いて開かれた東アジア首脳会議でもミャンマー情勢が強い関心を集めて議論された。ミャンマーがその遅れた政治経済情勢を、これから他のアセアン加盟国のレベルまでどのようにして改革するかが、課題である。日本の対ミャンマー政策は、ミャンマーの民主化を進展させるために十分効果的な政策を採って来たとは言えない。現在英国やフランスが従来の政策を見直す兆しを見せている。またミャンマーがその対外経済政策を改善させる兆しもある。日本はより積極的なミャンマー政策を検討すべき時期に来ているのではないかと思う。多くのアセアン加盟国が軍事独裁または開発独裁から出発して現在の経済発展及び民主化を実現した前例を、ミャンマーが見習うように、日本はアセアン諸国と協力しながら、ミャンマーを後押しすべきである。
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