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2007-11-29 00:00
連載投稿(2)国際経済協会世界大会のイスタンブール開催
池尾愛子
早稲田大学教授
もちろん、黒海経済協力機構(BSEC)をつうずる黒海地域の繁栄、加盟国間の経済的・機能的協力、安定性、良き統治に対する期待は(域外からも)極めて大きい。その背景には、黒海地域の「エネルギー回廊」としての役割の増大がある。資源大国ロシアからエネルギーに飢えるヨーロッパへの天然ガス・パイプラインが黒海地域を経由しているのである。異なる国々を経由するパイプラインが布かれていることは、輸出国にとっても、輸入国にとっても、メリットがあると認識されている。換言すれば、エネルギー・パイプラインを追加敷設する費用負担は社会的にも経済的にもデメリットなはずであるが、それより供給元・供給ルートの多元化によるエネルギー安全保障確保のメリットの方が大きいのである。要するに、相互不信を拭いきれないのである。
また、タンカーによる化石燃料の輸送も増加し、黒海からエーゲ海に通じる航行ルート(ボスポラス海峡―マルマラ海―チャナッカレ海峡)の交通量を増やしている。そのため、黒海地域の安全性・安定性確保のためには、BSEC域外の国々や地域機関との協力が欠かせない。
トルコがグローバリゼーションの縮図になっていて、トルコから積極的に行動を起こさなくてはならない。そうした認識がトルコの経済学者たちに共有されていて、トルコ経済学会が国際経済協会(IEA)のカルヴォ会長(アルゼンチン出身、国際機関経験者)と協力して、次の第15回世界大会をイスタンブールに招致することになったとみてよい。IEA世界大会には、開発に積極的な世界銀行が協力してきたが、次大会の組織には、国連貿易開発会議(UNCTAD)などの国際機関で活躍する経済専門職たちが多くかかわっている。黒海地域の経済学者たちも積極的に参加することであろう。次大会の中心テーマは文字通り「グローバリゼーションの挑戦」であり、新しい金融アーキテクチャや国際機関の役割が幾つかの分野で議論の俎上にのることになっている。
3年毎のIEA世界大会の組織には、会長の志向と判断が強く出るようになってきている、否、新しい動きが期待される人物が会長に選ばれる傾向があるというべきかもしれない。第16回大会は青木昌彦次期会長が2011年に組織することになっていて、開催地はアジアにしたい旨を公表されている。日本では既に、第5回大会が都留重人氏の組織により東京で1977年に開催されており、(奇しくも)「経済成長と資源」というテーマの発表論文集が刊行されたことを記しておこう。(おわり)
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