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2007-11-08 00:00
狭い国益判断では大きな外交成果は望めない
河合正男
白鴎大学客員教授
先日国連大学で、来日中のノルウェーのストーレ外相が行ったフリッチョフ・ナンセン記念講演を聴いた。ストーレ外相は、世界平和のために核兵器の拡散防止が重要であること、さらには地雷やクラスター爆弾の禁止が必要であることを強調しながら、外交の今日的あり方について「国益を狭く定義した外交政策は失敗した。50年後、60年後の人生をイメージした外交政策を進めていくことが必要だ」と述べていた。
現在の人類社会にとっての大きな脅威は気候変動である。国際社会の重要課題である「人間の安全保障」は軍事力だけでは達成できない。ノーベル平和賞を出し、小国ながら積極的に平和外交を展開するノルウェーの外交哲学に、あらためて触れた思いがした。「ノルウェー国内でも、平和外交のためになぜこれほどのエネルギーを費やし、途上国のためになぜこれほど多額の援助(GNI比で世界一)を行うのか、との批判がないわけではないが、まさに国際社会に貢献するこのような外交こそがノルウェーの安全保障に役立っているのだ」とのことであった。
わが国の政治も大きな転換点にあるが、自民、民主両党の党首会談の結果、政局はむしろ混迷の度を深めている。党首会談において、自衛隊の海外派遣についての恒久法の制定の議論があったということは、最終的な法案がどのように落ち着くのかは別にしても、結構なことであった。しかし、欲を言えば、50年後、60年後とまで行かなくとも、日本の長期的な国際的役割を全体的にどのように構想するかについて、政治指導者の間で議論してほしかった。そうすれば、日本国民ももっと元気が出てくるはずである。
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