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2024-10-30 00:00
(連載1)揉めるカナダとインドの関係
岡本 裕明
海外事業経営者
日本から見ればカナダとインドがもめていることにはほとんど関心がないでしょうし、報道も極めて淡白だと思います。ところが少なくともカナダでは連日トップニュースとなっており両国間の関係は重大な局面になるところです。日本からみるインドの景色とはまた違った一面がありますので少々お付き合いいただければと思います。発端は昨年6月に当地、バンクーバー郊外の巨大なインド人コミュニティがあるエリアでシーク派指導者が殺害されたことに始まります。この殺害が政治的背景を含んだものではないかという諜報機関からの報告が上がってきます。またその情報は他国の諜報機関からのお墨付きもついています。
そのため、カナダ政府が動き、インド政府に対するクレームと調査を始めますがインドのモディ首相は不当調査でインド政府は何ら関与していないと強く否定します。その間、外交官追放などを経ながら問題解決には目立った進展はありませんでした。事件から1年4か月もたった今、今度はカナダ、インド双方が6名ずつの外交官を追放します。そしてカナダ側は野党、新民主党党首でインド系のジャグミー シン氏からの強い要請もあり、委員会を立ち上げいよいよ本腰を入れて本件に臨むという段階にあります。ジャグミーとは私は2度ほど面識があり不遇の時代を抜けてようやく国政で力を出してきた感じがします。
ではことの背景です。ざっくり言ってしまえば近代インドの成り立ちにあります。長く英国の支配下にあったインドは第二次大戦終結で念願の独立を果たします。ところがインド国内では激しい宗教間対立が起きます。それはヒンドゥ、シーク、イスラムが複雑に絡み合うことであり、それを解決する手段の一つとして独立したばかりのパキスタンがインドを挟むように東西に分かれ、イスラム教徒をインドの東西にあるパキスタンに押しやります。東パキスタンはのちにバングラディシュに変わります。
これでイスラム問題はいったん収まりますが、ヒンドゥとシークの問題は残ります。インド国内でのシーク派の比率は1%台程度で極めてマイナーな立ち位置にありますが、彼らは北部のパンジャブ州あたりでインドからの独立運動を模索します。これがカリスタン運動と称するものです。インド国内ではさほど目立った動きは起きていないのですが、国外からその活動を展開しており、昨年バンクーバー近郊で殺害された人はこの活動の指導的立場であったとされます。インドではテロリストとして認識されていたようです。殺害犯人は捕まっていないものの諜報組織が殺害したものだとカナダ警察はほぼ断定しています。(つづく)
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