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2024-09-19 00:00
(連載2)中国における定年年齢引き上げの意味する「不景気」
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
この流れは、30年前に日本で同じようなことが起きた。日本の場合は商業などが自由なので、それでも、アルバイトや派遣業で生活をしている人が少なくなかったが、しかし、中国の場合は、上記に書いたように、すべての行為に許可が必要でありその許可には申請だけではなく資本金などの条件が必要になる。つまり、若者は労働力として働かなければならないが、しかし、一攫千金を夢見ている。その状況で若者が中国共産党支配下に見切りをつけて海外に出て行ってしまうので、そのまま労働人口が少なくなってしまうのである。しかし、そもそも中国は「安い人件費や資源費」ということで「世界の工場」として経済をまわしており、曾野工場として「設備や資金の投資」や「就業ノウハウ」そして「先端技術」得ることで経済の活性化を成し遂げてきていた。それが、「中国は独自にできる」というように考え、習近平の世代になって「中国製造2025」などという目標を掲げたために、多くの企業は中国を警戒しまた中国のスパイを排除する方向になっていった。そのたっめに、習近平の就任以前の技術で中国は止まってしまいまた、中国に対する投資は、頭が悪くエコノミックアニマルとかした日本の頭の悪い企業以外は、欧米各国が行わなくなってしまったのである。
このような意味で経済活性化はうまくゆかず、なおかつ、新たな投資も得られず、技術や製造品質が悪いことから、発展途上国以外は相手にしてくれないということになる。そのために「労働市場はマイナスになっているのに、労働人口が少ない」ということになるのである。そのうえ「若者が国外に流出している」と言うことになる。そのことが、今回の定年の引き上げの一つの理由である。このことによって「労働人口が増える」ということと「労働者が海外に流出することを防ぐ(老人になってから海外にいったりはしない)」ということがあり、同時に「年金などの費用を払う必要がない(公的年金制度がないが、公務員や軍人には年金があるので、その人々の再就職をさせるという意味で)」ということになり、政府の費用を節約できるということになるのである。ここまでは日本と同じであるから、だいたいわかりそうなものである。
しかし、もう一つ理由がある。これは「ベテラン労働者の人脈を生かす」ということである。これも上記に書いた「中国製造2025」のところで書いたが、中国は独自に製造をできるということを宣言したことから、中国に対する投資や技術移転が極端に少なくなった。そのことから中国では様々な技術開発がうまくゆかないしまた、商業にも支障が出ってきている。開発案件に関しては、恒大集団の破綻など、様々に見えてきているが、それ以外にも、欧米の工場などは閉鎖されているし、またアメリカはトランプ政権の時から輸入に制限をかけている。昨今ではEV自動車に関してEUやカナダが警戒感を示していて政策的に関税をかけるのなどの方策を行っている。
このような時に「昔一緒に働いた」という人脈を屈指して、打開を図るということが重要になる。一般に「中国」は嫌いでも「中国人の友人」は信用できるという場合がある。まさにそのようなことで、中国企業を立て直すということが重要になってくるというレベルまで、現在資源も技術も投資も少なくなったということを意味しているのであろう。これらは習近平政権の経済政策の失敗であるということが言えるが、同時にその失敗は、中国の現在の経済の構造をすべて変えなければならないほどの大きな失敗であり、その内容は、中国国民の定年制度を変えてゆくということまで行わなければならないように切羽詰まったところになった、ということを意味しているのである。(おわり)
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