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2024-07-17 00:00
イスラエルはガザ地区のハマス、レバノンのヒズボラの2つの戦線を開くべきではない
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
2023年10月7日にガザ地区を実効支配するイスラエル過激派ハマスのイスラエルに対する攻撃、人質連れ去りとイスラエルのガザ地区への報復攻撃はまだ継続している。停戦交渉も行われているようだが、まだ厳しい状態だ。ガザ地区での民間人犠牲者が増加していること、イスラエルから連れ去られた人質たちの解放が進まないことに対して、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対する批判が大きくなっている。
今回のイスラエル・ハマス紛争に対しては、イスラエル北部国境を接するレバノンの過激派民兵組織ヒズボラ、イエメンのフーシ派がハマスを支援する形で、攻撃を行っている。イスラエルはヒズボラとも戦闘状態にある。イスラエルは南部ガザ地区でハマス、北部国境地帯でヒズボラと二正面作戦を展開しなければならない。ヒズボラはイランからの支援を受けやすく、装備や訓練がハマスに比べて上回っている。また、ヒズボラがレバノンの北部に撤退しながらの戦闘ということになれば、イスラエルはレバノン国内に入っての戦闘を行うことになり、そうなれば、戦争はどんどんエスカレートしてしまう危険がある。
イスラエルはハマスとヒズボラとの戦闘を、イランのとの戦争の一部と見なしている。この二正面作戦はイランとの戦争における2つの戦線ということになる。二正面作戦はあまり得策ではない。各個撃破が戦術の基本だ。ハマスもヒズボラもイスラエル国防軍にしてみれば強敵という訳ではない。将兵の人数や装備で言えばイスラエル国防軍が圧倒している。
しかし、これまで殲滅できなかったのは、ハマスやヒズボラが正規軍ではないからだ。イスラエルが戦線を拡大し、ヒズボラとも激しい戦いということになれば、イスラエル国内も不安定になり、また、中東全体も不安定になる。今のところ、全ての当事者がエスカレートを望んでいないようであるが、戦闘で予想外の出来事が起きればどうなるか分からない。まずは、停戦が何よりも重要である。
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