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2024-07-11 00:00
(連載2)イギリスの総選挙でなぜ労働党が勝利したのか
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
イギリスの国民は「今の政権がよくない」というように判断する。民主党政権になった当時、「サブプライムローン」による世界恐慌があり、そのために、麻生内閣が何をしてもうまくゆかなかったのとあまり変わりがない。何をしても、手はないが、しかし、国民はその時に「変化」を求める。今までのままではだめだというような感覚になると、反作用になる。
では、その時に多くの国民は「民主党で政権が維持できる」と思っていたであろうか。当時の内容は、「自民党にお灸をすえる」というようなことを言っていたに過ぎない。しかし、勝った民主党はそのようなことを全く考えなかった。それだけではなく、政権担当能力がない場合、「選挙結果」で見えるように「今までの政権の反対」を行うということになるのである。つまり全否定である。当時民主党政権で官房長官に就任しいていた仙谷由人(故人)は、「革命を起こした」と言っていたが、選挙で一回勝っただけで革命などということを言っていること自体がおこがましいことこの上ない。相手を否定するという事だけで、政権がうまくゆくはずがない。世の中はそのように単純なものではないのである。しかし国民はそこまでよくわからない。そのような状況になってしまうのである。
今回のイギリスにおいて、まずは誰が何をしても、「増税なしで改革することができない」ということであり、そのことから、メイ、ジョンソン、トラスと三人の短命内閣を作り出してしまった。しかし、短命内閣が出れば、それだけ政党としては劣化してしまう。今の自民党をみても、小泉内閣や安倍内閣のように、長期政権でなければ話支持率の安定はない。胃や政治の安定がないので、そのことから信用が失われえてしまうということになるのである。さてでは次の労働党内閣である。何をするのか。いや、何ができるのかということが問題になる。
すでにEUに戻るということもできないであろう。また戻るにしてもフランスをはじめとした国々では極右政党とマスコミに呼ばれる政党が出てきている。実際に、それらはイギリスと同じように現状が打破できずに現政権が壊れていった結果である。そのように考えれば「今からEUのように連合体を組むという選択肢はヨーロッパ各国にはない」ということになりまた、アメリカもトランプになれば、同様の状況になることは間違いがない。ある意味で「現状否定」でとった政権は、「道しるべがない迷路」に入ることになる。その迷路から抜け出せなければ混乱が出てきてしまうのである。その結果は、ロシアや中国に利することになる。それでよいのか。もう一度よく考える必要があるのではないか。(おわり)
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