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2024-04-17 00:00
このタイミングで行われた日米首脳会談の本音
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
4月10日に岸田首相が「国賓待遇」で訪米し、日米首脳会談が行われた。日本では「国賓待遇」であることから、当然に元首主催の晩餐会が行われ、そこでのスピーチばかりが報道されているのであるが、晩餐会の内容などは特に国政の問題ではなく、あくまでも「余興」の範囲でしかないのである。本来必要なのは「議会での演説」や「首脳会談の内容」そして、その他の「外交的な成果」が重要なのであって、スピーチで爆笑を取るのであれば、イギリスで笑いを取った「とにかく明るい安村」さんと変わらないということになってしまうのである。さて、そもそもは「国賓」と「国賓待遇」とではまったくことなる。国賓というのは、「国家元首が相手国の国家元首を賓客として迎える」時に行うものである。つまり、日本では天皇陛下をアメリカに迎える時に、アメリカの大統領が主宰して、国賓として迎えるということになる。国家の総理大臣は、実際にはそのような元首ではない。そのような意味で「国賓待遇」になっているのに過ぎないことを、まずは岸田首相は考えるべきである。つまり、賓客ではなく「接遇レベルを国賓レベルにあげただけ」であって、アメリカは決して国賓であるとは思っていない。それなのに調子に乗ってジョークを飛ばしてご満悦というのはあまり頂けない話ではないのか。もちろんジョークで会場を温めることが悪いわけではないが、しかし、まずは、そのような話ではなく「政治や日米関係に関連したジョーク」と中身にこだわるべきであろう。
さて、なぜこの時期なのか。アメリカは11月に大統領選挙があり、そのことによってこの時期にはスーパーチューズデーが終わってバイデンが候補になっている時期である。そのことから、大統領選挙の道具として岸田首相をうまく使うということになっていたはずである。当然に岸田首相はその思惑に乗り、そのうえで、今の国内の政治不信を払しょくすべく演説を行いながら、トランプ氏が大統領になってもよいように演説をしなければならない。そのうえで、日米関係を、対中・対ロ・対北朝鮮というようなことから、経済関係まですべてにおいてその内容をシッカリと、見てゆかなければならないのではないか。その意味で、晩餐会の話は全て無視して、ここでは日米首脳会談の内容を見ることにする。
そもそも、アメリカといのは、「軍事・軍需」と「金融」しかない国であるといって過言ではない。このようにここに書くと「農業がある」とか「製薬会社がある」ということを言う人がいるが、そもそも「食料」も全て軍が使うものであるし、また薬や衣料品も、軍人がけがをした場合の治療や、軍服ということで、いずれも「軍需用品」である。では逆に皆さんに聞いてみよう。アメリカで製造されたカラーテレビというものは見たことがあるだろうか。もちろんモニターはあるかもしれないが、受信機などを搭載したテレビは存在しない。ましてや冷蔵庫などは全くないのである。アメリカは軍需ではなくてよいという産業は、基本的にすべて斬り捨ててしまっており、アメリカの最後の冷蔵庫は1980年代に製造が終わっている。そのような国との感覚で言えば、当然に「軍需用品をアメリカから買う(アメリカの経済を潤す)代わりに、日本で製造する軍需以外の商品をアメリカに提供する」というようなことになるはずだ。しかし、その「軍需以外の商品」の多くが、グローバルサプライチェーンで日本で製品化していないどころか、中国やグローバルサウスの国々に依存しなければ商品ができないということにある。要するに、「軍や防衛を協力する」ということと、一方で「グローバルサウスで経済面を考えながら、緊急事態の自給体制をしっかりと確立する」ということがなければならないということになる。
しかし、岸田首相は、人工知能や量子コンピューターに関する内容や半導体などの「先端技術」の面だけで依存度を下げるとしながらも、それ以外のサプライチェーンに関しての「産業構造変化」に関して全く意識がないということが大きな問題になる。需要インフラの防護などまで言われていながら、半導体などを中国に依存してしまったり、または、そのようなことをそのまま放置しているようでは、話にならないのではないか。岸田首相が宮澤喜一首相を尊敬するといいながらも、結局それらの構造改革もわかっていなければ、日本の産業もわかっていないということになる。もしもわかっていれば、プレゼントはそのようなモノを示す内容になっていたはずだが、なぜか、能登半島地震の被災地である輪島塗をもっていっている。石川県の経済効果を狙ったということならばわかるが、本来ならば、「お土産一つ一つに、日米関係や世界戦略の意味を求めてもらいたい」ということになる。何度も言っているが、G7で安倍元首相がなぜ世界的に信頼されていたか。実際には当時のトランプ大統領のアメリカが出来ない中東やアフリカの平和に、安倍が世界平和のために手を付けていたということであり、西インド洋経済圏構想など、最後の資源地帯であるアフリカをロシヤや中国にとられないようにしていたということがG7の人々の大きな信用に繋がっているのである。そのことを同じ自民党の内閣でありながら、岸田首相は全くわかっていない。国内のそれも自民党という政党内の争いだけで目いっぱいになって悦に入っている感じだ。そのような日米外交では、このような歩道になってしまうことも仕方がないのかもしれない。
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