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2024-03-30 00:00
支持率低下の打開策としての北朝鮮訪問で岸田内閣はどのように見られているのか
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
陰謀の基本は「相手の弱みに付け込む」ということになる。その相手の弱みというのが、国全体、または集団全体の人が認識している内容である場合は、陰謀ではなく「恨み」ということになり、国辱などというような言葉になって、いつかそれを見返すというような叛動力になる。日本は日清戦争勝利時に遼東半島の領有を清国との間で決めたのであるが、しかしロシアを中心にした三国干渉によって遼東半島を返還しなければならなくなり、そのロシアが旅順港を租借することになる。この時は日本は「ロシアと戦うまでの強さがない」ということで、日本は耐える事しかなかったが、国民全体がその弱みを自覚していたので「臥薪嘗胆」を合言葉に、国力を上げることに尽力したのだ。その10年後に日露戦争を行うことになったのである。その旅順港を攻略した203高地攻略は、日露戦争の激戦の一つとなったのである。
しかし、これが「政治家のトップが国民にも隠していること」の場合は、このような「国力のアップ」に繋がらない。結局政治家が、国民の期待にもこたえられず、一方で、相手に手玉に取られておかしくなってしまい、国全体が国力を失う結果になるのである。今回、岸田首相が「自らの支持率の回復のため」に「北朝鮮との拉致問題の解決」ということを主張し、自ら北朝鮮に行って交渉するということをいっている。「自分の就任期間中に解決する」とその鼻息は荒い。しかし、そもそも岸田首相が外務大臣であった時に、つまり安倍晋三が首相であり、そのことを主張していた時には、当時の外務大臣は拉致問題に関しては何もしていなかった。もちろん、拉致担当大臣は他の人が行っていたのであるが、しかし、その拉致問題に関して当時は外務大臣なのであるから何でもできたはずである。しかし何もしなかったということは基本的に、岸田首相は個人としてまたは政治家の信条として、拉致問題には全く興味がないということを示しているのである。
その様に今まで何もしていなかった岸田首相が、唐突に拉致問題を言い始めるというのは、基本的には、自分の支持率などにやましい部分があるということになる。岸田首相の周辺には中国と北朝鮮のスパイばかりである。多分本人は、全く気付いていないが、首相官邸の様子や支持率低迷の内容などが全て伝わっているのであろう。そのことから「もしも面会するならば拉致問題は解決したという前提である」というようなことを金与正に言われているということになる。さて、ここが陰謀である。金与正がこのような発言をしたことの意味をしっかりと解釈しなければならない。そもそも、何故北朝鮮はこのように発言したのか。一つは韓国との関係である。それまで文在寅からうまく供与されていた賄賂などが無くなり、基本的に財政が悪化している。そのうえ韓国を孤立化させるためにはその後ろにある日本との友好関係を維持しなければならず、その意味では、日本を必要としているのである。しかし、日本国民はそのようなことは全く考えておらず、北朝鮮はミサイルを突然打つ不気味な「潜在的敵国」であり、北朝鮮と仲良くしたいなどと考えていない。つまり、支持率低迷で北朝鮮と接触したいのは岸田首相の個人的な欲望によるものであり国論を代表するものではないということになる。
その岸田首相の個人的な欲望に付け込んだのが、まさに「面会を行う」ということを今、このタイミングでいった事情である。当然に、このニュースを見た日本の国民は「岸田首相の窮地に立たされた内容」や「北朝鮮の財政事情」などを読み解くことができ、同時に、岸田首相だけではなく日中議連の林官房長官が動いても、中国が全く北朝鮮に対して指導的な立場になってくれないという事情も読み解くことができる。つまり、岸田首相も林官房長官も、中国や北朝鮮に「金を持ってくる弱い政治家」としか考えていない。バブル期の「ミツグ君」に見られているということなのである。まあ、陰謀を読み解くと、「自分の国」に関してもどのように見られているかが見えてしまうのが、問題の一つかもしれない。
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