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2023-09-13 00:00
米英に反発する産油国による石油減産の可能性とその影響
真田 幸光
大学教員
米英に反発する国の中で産油国は意外に多い。ロシア、サウジアラビア、イラン、ベネズエラなどがそうした国に挙げられ、これら諸国は、水面下で連携をして、石油減産、そしてコスト・プッシュ・インフレを意図的に引き起こし、米英とその同盟国経済にもう一段打撃を与えるかもしれないとの見方も出てきている。実際に、米国にカショギ殺人の指示をした張本人と攻め立てられているムハンマド皇太子率いるサウジアラビアは、こうした意図があってか否かは別にして、石油減産を示唆する動きを強めつつある。
こうした結果、国際原油価格は上昇傾向を示し、物価上昇懸念が再び広がりつつある。米国のパウエルFRB議長も物価上昇懸念の中、必要に応じて、米国が政策金利を更に引き上げる可能性があることを否定していない。こうして、基軸通貨発行国・米国をはじめとする世界の多くの中央銀行の金利に対する悩みは深まっていると言えよう。物価を適正に安定化させる為には金利を上げなければならないが、しかし、昨年以降のインフレとの戦いであまりにも多くの「金利引き上げ」を実行してしまった為、追加引き上げが必ずしも簡単ではない、否、経済回復の重荷になる可能性は高い。
しかし、だからと言って、政策金利の引き上げを抑えながら、インフレが過熱した場合には、最悪、1980年代の米国の経済情勢のような悪夢が再現される可能性もある。世界経済情勢は厳しい状況にあり、これにより、米英の秩序が崩れるきっかけにもなりかねない。その場合には、虎視眈々と経済覇権の拡大を図る中国本土の利となる可能性もある。複雑な世界情勢の行方を読むことは丁寧に行っていかなければならない。
こうした中、国際金融市場では、筆者にとっては意外にも円が米ドルに対して円高に戻ると言う見方をする向きが強い。「来年には、1米ドル当たり110円前後にまで回復すると言う見方があり、また、2~3年はかかるが円は円高に戻る」との見方がある。7月28日、植田日本銀行総裁が年0.5%の国債10年物の金利変動上限幅を年1%水準までは容認するという計画を明らかにした。これにより、今後、日本の金利が上がり、円安現象も緩和されるという観測が出ているが、今のところ、変化が始まる時点といつになるのか、不確かである。GDP基準で、経済規模世界第3位の日本が金融政策の方向を修正すれば、世界経済に与える影響も小さくはない。なかなかポジションを明かさぬ植田日銀総裁の動静は注目されている。
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