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2023-08-24 00:00
情報覇権争いにおける「位置情報」の重要性
真田 幸光
大学教員
最近では、米中を軸とした覇権争いが熾烈化してきていますが、その覇権争いの軸は、「通貨覇権争い」と共に、「情報覇権争い」にあると思われます。そして、その情報覇権争いは、「ハードの情報覇権争いとなる宇宙開発、制宙権争い」と、「ソフトの情報覇権争いとなる5G開発を軸としたソフト開発争い」となります。こうした情報覇権争いの中で、一つのポイントとなるのが、「位置情報」の確認となります。「誰が何処にいて、何をしているのか、どういった情報発信をしているのか?!」こうした情報を、「ビッグデータ化」して、「情報を分析、それを基に、将来までも未然に予測する」といった能力を意識した情報覇権争いも展開されています。
ところで、上述した、「位置情報」と言うことになると、古くは、「レーダー」と言うことになりましょうか?このレーダー、1887年、ドイツの物理学者であるハインリヒ・ヘルツが電磁波の人工的な発生と検出に関する実験を行ったことに本格的な開発が始まりました。電磁波の存在は、イギリスの物理学者であるジェームズ・クラーク・マクスウェルによって理論的に予言されていたとされていますが、このヘルツの実験によってはじめて立証されたのであります。その後、1904年、ドイツの発明家・クリスティアン・ヒュルスマイヤーはドイツとオランダで電磁波の反射で船を検出して衝突を避ける実演を行いました。火花送信機とコヒーラー受信機、ダイポールアンテナにより距離キロメートルの船舶の探知を実用化し、英国に於いて「Telemobiloscope」の名で特許を取得したとされていますが、その当時は、英国海軍には採用されず、生産されなかったそうです。
一方、ドイツでは1933年から、海軍の通信手段試験場(NVA)にてルドルフ・キューンホルト博士の研究班が実用的なレーダーの開発に着手しています。1934年にはドイツの技術者であるテオドール・シュルテスと共に試作品の実験が行われ、12キロメートルの距離から目標となった艦を探知しました。またこの時、試験場から700メートル離れた位置を飛行していた航空機の探知にも成功したと報告されています。一方、米国と英国では1930年頃から、電離層の観測目的で電波の利用が行われていました。その後、航空機の通過で観測が妨害される現象を逆に利用して、航空機を発見する為のラジオ・ロケーターと呼ばれるレーダーの開発が始められ、イギリスはこの電磁波を兵器(殺人光線)に利用できないかロバート・ワトソン=ワットに打診し、殺人光線としては利用できないが、航空機の早期発見には役立てることができるだろうとの見通しを得、英国が最初に航空機の探知に成功したのは1935年のことであると報告されています。
こうした初期のレーダー開発に対して、今では、例えば、「ステルス戦闘機などの開発」も見られ、一方、一般的な位置情報については、「皆にスマホを持たせて、そこから発している電波を追いかけて位置を確認する、それだけでなく、そのスマホから発信・受信された情報を解析、分析、利用する」といった動きも見られるようになってきています。「より早く、より正確な情報のキャッチ」は、やはり、為政者にとっては、今も重要なポイントであるようです。
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