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2007-10-05 00:00
「京論壇(ジン・フォーラム)」にみる建設的日中相互理解
伊奈久喜
新聞記者
本欄の読者のなかに京論壇(ジン・フォーラム)をご存じの方はいらっしゃるだろうか。おそらくは多くの方がご存じないだろうから、ご紹介したい。京論壇は東大、北京大の学生たちによる討論の場である。昨年始まり、北京と東京で両国の若い世代の精鋭が経済、環境、歴史、安全保障の専門家たちを訪ねて意見を聞き、それらをもとに考え、秋に東京で最終発表会を開く。ポイントはすべての議論が英語でかわされる点にある。
去年は東大本郷キャンパス、今年は9月30日に駒場キャンパスで最終発表会が開かれた。去年、今年の発表会を聞いて感じるのは、議論と提言の質の高さである。例えば、最も感情的になりやすい歴史問題でも、ありきたりではない建設的議論だと感じた。それを可能にしているのは、議論が日本語でも中国語でもなく、英語を使う点にあるためだと思える。日本側はいわゆる親中派学生ではない。中国側も日本を専攻する学生ではない。より広い分母のなかから選ばれたひとたちであり、だからこそ、日中関係を幅広い文脈で考える。
議論を聞いて個人的体験を思い出した。7-8年前、中国の複数の都市でアジアの安全保障について研究者や外交官たちと意見交換する旅をした。そのときに、中国人の知識人には、日本語を話すひと、そして英語を話すひとの2種類がある、と感じた。日本語のひとたちの視野には日中関係がある。当然ながら歴史問題が提起され、日米同盟には警戒的だ。英語のひとたちにとって日中関係は多くの関係のひとつであり、歴史問題も日米同盟も彼らの頭のなかでは相対化されている。
京論壇に来ている北京大生は後者であり、かれらに日本を知ってもらう意味は大きい。昨年、京論壇を始めた東大側の実行委員長だった鈴木雅映子さんは卒業にあたって東大総長賞を受賞し、いま日経ビジネス誌の記者をしている。筆者と同様、去年、ことしの議論をきいたひとりに渡辺幸治元ロシア大使がいる。ことしの会議には谷野作太郎元中国大使の姿もあった。Googleで京論壇を検索すれば、もっと詳しい情報が得られる。おそらくは来年の秋にも東京で発表会があるはずである。足を運ばれれば、勉強になる。
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